第120号(平成16年1月1日)

   2004年を迎えて

社団法人 日本絹業協会会長  吉國  隆あああ

 明けましておめでとうございます。

 日本の経済は、少し曙光が射してきたかなという感じですが、是非このまま明るさが増していってほしいものです。一方、平和や安全の面では、今までになかった要素が加わり、世界との付き合い方をいやでも国民皆が考えさせられる時にきているように思えます。

 人々の生活志向の面では、ここ何年かの動きを見ていると、高度成長時代の物質文明追求型とは一味違い、品質、個性、文化性などを求める動きが強まっているように見えます。このような動きは、絹の消費にとっては、追い風といえるのではないでしょうか。

 12月に、各種繊維の織物業界がテキスタイル素材を展示する「ジャパン・クリエーション」を見せてもらいました。その中の絹のセクションでは、各地の織物業界で、実に様々な素材が開発されている様子がよく分りました。

 絹は、原糸の撚糸やニット糸への加工、染めの仕方、織り方、仕上げや表面加工の仕方などにより、様々な風合いや模様、光沢をもった織物が作り出せることを一つの特徴としている繊維だといえますが、それに加えて、ウール、化繊など他の繊維と混紡したものなどいろいろなものが作り出されていることにあらためて感心しました。

 このように素材や加工の面でいろいろの変化を求めつつも、光沢、しなやかさ、豪華性など絹の本領は常に発揮されていて、本当に絹は素晴らしい天然繊維であることをいまさらながら痛感した次第です。

 絹の健康面についても、消費者の知識が次第に高まってきつつあると期待しております。生糸に紫外線防除作用があることから美白材として化粧品などに活用されていることは比較的よく知られているように思いますが、そのほかにも、抗菌作用、抗酸化作用などがあるといわれています。また、吸放湿、保温などにも優れています。考えてみれば、繭は、蚕が蛹状態で身動きできない間に自らの身を守るために作り出すものであり、これを人間が借用して絹に利用させてもらっているものだけに、これらの素晴らしい作用をもっていることは当然なのです。

 一方織物素材としての絹の弱点といわれていた伸縮性やシワなどの問題をうまくカヴァーするための原糸加工や織技術、表面処理技術なども日進月歩という状態です。工業技術国家としての実力と伝統に培われかつ繊細な神経を行き届かせた織技術の蓄積とがうまくかみ合って、今日のシルク製品を支えているといえます。

 伝統技術といえば、日本の養蚕、製糸業も、品質の高い生糸を作り出す技術で世界をリードしてきたものであるし、絹関連産業が生み出した糸加工、染、織、精錬などの技術とあいまって、日本は絹に関する技術大国としての地位を占めているといえます。昨年7月にイタリアのコモで開かれた国際絹業大会でも、海外の研究機関が日本の技術のいろいろな側面を研究の対象としている様子に接することができました。

 また、昨年10月に中国の南京市の主催で開かれた「南京雲錦国際シンポジウム」に招かれて参加した際、日中の錦織物の歴史について多少の勉強をしましたが、日本の錦織物は、元来は中国伝来の織技術をベースにスタートしたことは事実ですが、奈良時代からいち早く独自の工夫を取り入れた国産錦織物を発達させていたことを知りました。その後も西陣での織機の改良のほか、国民文化や指向を反映した紋様、織技術、染技術の導入などを通じて一大国産文化の世界を築いてきています。

 天然繊維としての絹の素晴らしさとそれを活かす技術国家としての実力、伝統に培われた高い文化性、これらが結集されて我が国の絹製品の価値を高めていることは間違いありません。このことを消費者の方々にもっと分っていただき、また、十分な商品知識に基く選択をしてもらえるよう、一昨年以来「日本の絹」マークの普及に努めているところです。

 今までは和装品で一足早くスタートを切り、白生地に始まって次第に最終製品に広まってきていますが、今年は、洋装品にも適用するための検討が現在進められています。また、生糸以来の商品の履歴、生い立ちが分るようなタイプの表示方法についても検討が行われています。今年が日本の絹愛好者、絹産業の関係者にとって新たな前進の年になることを祈ります。


  ―きものステーション京都・あそびば―
    京都で消費者向けきものサービスの拠点誕生
    格安できものレンタルと無料の着付けも

 一般の消費者に気軽にきものの着付けやレンタル、あるいはきものの相談事や情報提供などが出来るきものの拠点作りが徐々に進んできています。
 昨今、若い人のきものへの関心が高まっているなかで、これを後押しするスペースとしてその役割が期待されています。

 京都織物卸商業組合では、京都産業会館の中に「きものステーション・京都」を11月1日オープンさせました。 すでに2ヶ月強が経過していますが、その中核事業である「きものぶらり」(最新の人気きものを格安でレンタルする事業)は12月7日までに234人が利用しました。

 一週間の内、金、土、日の3ヶ日間稼動なのですが、組合の予想を上回る利用状況とのこと。
事務局の田宮氏は、利用者の年齢は40〜50代が7%で、後は10〜30代と、圧倒的に若い世代が利用しており、きもの産地・京都をきもの利用の拠点に育てたいと話しています。

 この「きものステーション・京都」は、京都織物卸商業組合が、「業界と消費者が直接出会う接点」と位置づけて約1千万円の設備投資をして開設しました。
 ここでは、一般消費者向けに、きものぶらり、着付お直しコーナー、きもの大好きサロンなどのサービス機能、展示・PR事業などの情報機能、そして組合員向けのチケット販売を集約させています。中でも中核事業として重視しているのがサービス事業です。

 このスペースの中には話題の「きもの姫」などのきもの本が自由に見ることが出来るほか、(社)日本絹業協会の「日本の絹」マークのポスターの掲示やパンフレットなども置かれています。

 98年の京都きものの女王にも選ばれた牧野茜さんをチーフディレクターに運営がされています。彼女の目で選んだきものを組合員から購入してレンタル用きものを揃えたのも特徴です。貸し出すきものは、正絹は5千円、ポリエステルが3千円で、着付けも和装学院振興協議会の協力で対応しています。

 スペースの構成は、着付やレンタルきもののストック、ロッカーは二階に、サービスコーナーやサロン、ギャラリーは一階で、きものの相談や情報提供、販売、レンタル受付はサービスコーナーで対応しています。

 京の町屋であそびば開店

 一方、「アンティーク&チープ」にをキーワードに、ホームページを主宰し、同名のきもの雑誌も二冊目を発刊して好評を得ている遠藤瓔子さんが、1月4日から京都に「あそびば」をオープンしました。 場所は京都市中京区錦小路通新町西入西錦小路町247-1で、きものステーション京都のすぐ近くで、いわゆる京の町屋を活用した店舗です。

 ここでは遠藤瓔子さんがコーディネイトしたきもののレンタル、きものイベント、アンティークきものや小物の販売のほか、専用ホームページを立ち上げてのネットショップの開設をしたり、メールマガジンの発行などを行う予定とのことです。これに先だって開店前先行企画として、「初詣で着物レンタル」を実施して高い反響を得ており、今後も会員制度で運営していく意向です。

 きもののレンタル料は正絹1万円、銘仙7千円、ポリエステルが4千円で、着付けは無料。きものを着ながら本物の京文化を体験できるお店を紹介し、京女を体験してもらおうというのが狙いとのこと。きもののレンタル期間は原則一日で、当日夜七時までに返却するのが基本です。

 また販売についてもアンティークきものや小物だけでなく、今回、新潟県十日町のメーカーの協力で開発したモノトーンの紬を12万円前後の価格で販売する事にしていますが、若い人の事前の反応は「格好いい」と好評で注目されています。

 これまでは一部のイベントやキャンペーンとしてこうしたきものレンタルを実施するケースはありましたが、今回のように常設の拠点となる店舗を開設して、いつでも格安料金できものがレンタルできるようになった意味は大きいことといえます。

 また従来から存在するレンタルの店が、どちらかといえば振袖や留袖などのフォーマルが中心で、成人式や婚礼などの冠婚葬祭がメインだったのに対し、今回のレンタル事業は若い女性にカジュアルや普段着としてのきものを楽しんでもらうことがコンセプトであり、従来とは違った流れが生まれてきたことも注目されています。

  ―1月12日の成人の日―
    全国各地で新成人の振袖姿が目立つ

 平成16年の成人の日となった1月12日(祝日)は、全国的な好天にも恵まれ、地方自治体が実施する成人式会場ではあでやかな振袖姿の新成人が友達との再会を喜ぶ姿があちこちで見られました。

 横浜市では、JR新横浜駅前の大会場「横浜アリーナ」で市全体の成人式が午前と午後の部に分かれて実施されましたが、この入れ替えのタイミングの正午前後には式を終えたグループと、これから会場に向かうグループで、道路は大混雑、文字通り振袖姿の新成人が街にあふれる光景が見られました。

 会場をチェックしてみると、女性は99%が振袖姿で、地色は赤、ピンク、黒などが目立って多かった印象を受けます。グレード的には比較的高級品が例年より多かったようで、もちろんリサイクルきものと思われるものも時折見受けられました。

 一方、年々増えてきた男性の紋付き・羽織・袴すがたですが、今年は一段と着用が進み、印象では全体の一割に近い比率にまで上昇したと思われます。

 この地域は振袖販売の大手業者の地元でもあり、この日のために数カ所で振袖購入者のために着付ける会場を準備して早朝から着付けを行っていた業者も見られました。

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