絹だより
第210号 〈平成23年9月1日〉

発行:社団法人日本絹業協会・ジャパンシルクセンター
ホームページ http://www.silk-center.or.jp/

シルクわた“シルクフィル”の開発

   日本経済新聞社「技術トレンド調査」で 上位にランク付け[1]

前農業生物資源研究所生活資材開発ユニット (現市立岡谷蚕糸博物館) 高林千幸
                     丸三綿業株式会社    富澤 順
 はじめに
 シルクによる布団わたとして、古くから真綿があります。真綿布団は真綿を一枚一枚手で布団の大きさに広げ、それを目的とする重さになるよう何百枚と重ねて中わたとします。その作業はすべて人手によるため、作成に時間を要し高価なものとなっています。また、使用を重ねることで弾力性が失われ、硬くなることなどが知られているため、真綿よりもかさ高性等の物理的特性に優れ、かつ真綿布団よりも低価な布団わたの開発が望まれてきました。
 私共は、以前布団わた用素材として、シルクウェーブを開発しました。これは、大量の繭(1,500粒〜2,000粒)から繭糸を1本1本引き出し、すぐに乾燥させて枠に巻き取り、繭糸のクリンプ(ちじれ)状態を残したものです。シルクウェーブは、クリンプ状態を保つために繭糸表面のセリシンを残したままなので、水洗いができず、洗濯はドライクリーニングに限られるという難点がありました。
 今回、すべてが手作業の真綿よりも効率的に製造し、しかも水洗いができ、かさ高性や圧縮回復性等に優れたシルクわたを開発しました。
 この成果について日本経済新聞社は、主な技術開発成果を評価する「技術トレンド調査」結果(2011年度第2回)を2011年7月25日および26日の日経産業新聞紙上で発表しました。この中で布団わた用シルクフィル(新聞では“絹のわた”)が、上位にランク付けされ、実用性が高いと評価されました。
 本稿では、シルクフィルの開発概要と技術トレンド調査の結果について報告します。
写真1 シルク布団の製造方法の詳細
1、繰糸
2、精錬
3、風乾
4、ドラフト加工
5、開繊後
6、中わた加工
7、側地加工
8、キルティング加工
9、完成

1.シルクフィルの製造方法
 シルクフィルは、煮繭した大量の繭(1,500粒から2,000粒)から引き出した繭糸を乾燥させずに濡れた状態のまま大枠に巻き取り、その後精練し、絹糸をドラフター(開繊機)でわた状とします(写真1)。
 本方法では、繭糸を乾燥させることなく濡れた状態で巻き取るため、55から60m/min.での繰製が可能となり、仮に1日1機で6時間繰糸を行ったとして、繰糸だけ行うとして、単純計算で約8kgのシルクフィルの繰製が可能となります。
 繰糸後、セリシンを取り除くために、精練を行います。精練は炭酸ソーダ及び亜硫酸ソーダを共に浴比0.25%の濃度とし、微沸騰状態で60分間、綛の天地返しを繰り返しながらセリシンが均一に除かれるように行います。その後水洗し、絹糸がしなやかになり絹糸相互の分繊がスムースになるように、また加工時に静電気が発生しないようにトリートメント加工を施します。
写真2 シート状に加工したシルクフィル
 精練後、セリシンは取り除かれても絹糸は集合し、かたまった状態であるため、ドラフターで開繊します。開繊後、最終的には直径10cm位の棒状あるいは写真2に示すように巾30cm厚さ5cm位のシート状に加工します。その後、側地で包み、キルティング加工を施し、シルク布団とします。

(以下次号に掲載)

平成23年度第3次分
純国産絹マーク使用許諾について
社団法人日本絹業協会       

 純国産絹マークの平成23年度第3回審査会を8月25日(木)に開催しました。今回、11者 (うち、新規使用許諾申請が4者で新規製品が6品目、使用許諾されている者の製品の追加2品目、生産履歴の追加が1品目、生産数量の追加18品目、製品の変更2品目)から申請があり、審査委員会で審査した結果11者に対し、9月8日(木)付けで純国産絹マーク使用許諾する旨を通知しました。

純国産絹マーク使用許諾企業名
(表示責任者名)
表示対象製品名
表示対象数量
生産履歴の内容
(提携養蚕農家・企業等)
株式会社甲斐絹座
 代表者名 前田市郎
山梨県富士吉田市下吉田1503-4
(担当者:前田市郎)
Tel 0555-23-2280
表示者登録番号 149
スカーフ   500枚 蚕品種 春嶺×鍾月、錦秋×鍾和
繭生産 山梨県内養蚕農家
製 糸 松沢製糸所
製 織 自社
染 色 (有)石森染色
加 工 自社
有限会社さいとう呉服店
 代表者名 斉藤恭三
千葉県市川市八幡2-2-4
(担当者:斉藤恭三)
Tel 047-336-8088
表示者登録番号 150

後染反物
(色無地・付下)
   30反 制作企画 (株)丸上
繭生産  茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  (株)匠
染 色  小林染工房、(株)路考
意 匠  自社
株式会社西松屋
 代表者名 中野喜晴
兵庫県姫路市西二階町120
(担当者:中野喜晴)
Tel 079-224-0529
表示者登録番号 151
後染反物(小紋)
(変一越)
(紋意匠)

   15反
   15反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)
株式会社西尾呉服店
 代表者名 西尾高行
大阪市福島区吉野2-13-18
(担当者:西尾高行)
Tel 06-6441-1188
表示者登録番号 152
後染反物(小紋)
(変一越)
(紋意匠)

   15反
   15反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)
(生産数量の追加、製品の追加)
田中種株式会社
代表者名 田中 隆
大阪市中央区南本町2-1-8
   創建本町ビル3F
(担当者:田中 隆)
Tel 06-6261-2091
表示者登録番号 060
後染反物(小紋)
(紋意匠)
(数量の追加)
   20反
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  芝井(株)
染 色  高田勝(株)


(製品の追加)
 帯地
 (九寸名古屋帯)
   30本 繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
染 織  (株)織匠田歌
(生産数量の追加)
有限会社ミラノリブ
代表者名 笹口 晴美
群馬県桐生市本町2-8-26
(担当者:笹口晴美)
Tel 0277-20-8801 
表示者登録番号 003

シルクスカーフ
シルクストール
(数量の追加)
  300枚
  500枚
蚕品種  ぐんま 200
繭生産  前橋市大胡町養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
撚 糸   東北撚糸(株)
染 色  今井染色(有)
製 織  自社

シルクスカーフ
シルクストール
(数量の追加)
  200枚
  300枚
蚕品種  ぐんま 200
繭生産  前橋市大胡町養蚕農家
製糸・撚糸 自社
染 色  自社
製 織  自社
(生産数量の追加、
     生産履歴の追加)
日本蚕糸絹業開発協同組合
代表者名 小林幸夫
群馬県高崎市問屋町3−5−3
(担当者: 土井芳文)
Tel 027-361-2377
表示者登録番号021
裏絹(比翼地))
(数量の追加)
  100反
制作企画 絹小沢(株)
蚕品種 ぐんま200
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  坪金工業(株)
精練加工 (有)江島屋染工場
胴裏絹
(群馬羽二重)
(ぐんまレピア)
(数量の追加)
2,800枚
5,000枚
制作企画 絹小沢(株)
蚕品種 ぐんま200
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  (株)カブト
精練加工 (有)江島屋染工場


(生産履歴の追加)
 寝衣
 (おくるみ)
  300枚 制作企画  絹小沢(株)
(側)
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  (株)カブト
精練加工 (有)江島屋染工場
(詰物)
繭生産  群馬県内養蚕農家
真綿生産 石川彦太郎商店
縫 製  中里諒子
(生産数量の追加)
株式会社丸万中尾
代表者名 中尾 浩祥
滋賀県長浜市室町180番地
(担当者:中尾浩祥)
Tel 0749-62-1660
表示者登録番号 028

後染反物
(変一越、小紋)
(紋意匠、小紋)
(変一越、友禅)
(変一越、友禅)
 (数量の追加)

   60反
  120反
   30反
   60反
蚕品種  春嶺×鐘月、ぐんま200
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、小林商店
染 色  (株)一会、柏田屋(株)、
      啓明商事
後染反物
(小紋、色無地)
 帯
 (数量の追加)
   55反
   25本
繭生産  JA上伊那管内養蚕農家
製 糸  (株)宮坂製糸所
製 織  織処丸重
染 色  (株)一会
 
(製品の追加、生産数量の追加)
株式会社千總
代表者名 仲田 保司
京都市中京区三条通烏丸西入る
(担当者:俵 武司)
Tel 075-211-2531
表示者登録番号 001
 
後染反物
(振袖)
 (数量の追加)

   20枚
繭生産  岩手県南部・中部養蚕農家
製 糸   松岡(株)
製 織   美雲織物(株)
染色加工 自社

後染反物
(振袖)
(数量の追加)

   80枚
繭生産  岩手県南部養蚕農家
製 糸   松岡(株)
製 織   (株)竹林、
染色加工 自社

後染反物
(振袖)
(数量の追加)

   80枚
繭生産  岩手県南部養蚕農家
製 糸   松岡(株)
製 織  (株)松浦絹織
染色加工 自社

後染反物
(色無地)
(数量の追加)

   80枚
繭生産  岩手県中部養蚕農家
製 糸   松岡(株)
製 織  加賀グンゼ(株)
染色加工 自社
(製品の追加)
後染反物
(黒留袖)
   80枚 繭生産  福島県・山形県養蚕農家
製 糸   松岡(株)
製 織  (株)河藤
染色加工  自社
(製品の変更)
株式会社銀座もとじ
代表者名 泉二 弘明
東京都中央区銀座4−8−12
コチワビル3階
(担当者:青江良和)
Tel 03-5524-3222
表示者登録番号 011


(製品の変更)
結城紬

  ↓

染織作家作品



    6反

     ↓

    6反
蚕品種   プラチナボーイ
繭生産   千葉県内養蚕農家
真綿掛   佐藤米子
糸取り   水野商店
製 織   山口治子
     ↓
蚕品種   プラチナボーイ
繭生産   千葉県内養蚕農家
製糸・染織 下井つむぎ庵
(製品の変更、生産数量の変更)
株式会社伊と幸
代表者名 伊藤 公一
京都市中京区御池通室町東入ル
   竜池町448番地の2
(担当者:北川 直通)
Tel 075-211-2361
表示者登録番号 035
胴裏絹 (数量の減)

  600枚
   ↓
  100枚
蚕品種  松岡姫
繭生産  山形県・秋田県養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  岐阜特殊織物(株)
白生地

  200反

繭生産  山形県・秋田県養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  白数織物(株)

次回審査会の予定は平成23年10月20日(木)です。申請される方は審査会の10営業日前(10月4日)までに事前協議を行ったうえ、正式申請書を提出してください。

●イベント情報
 若い作家さんによる古布のリメイク・洋服から小物まで
  nukunuku 宮下久美子 新作展示会
◎ 日時:9月20日(火)から10月7日(金)
      20日(月)から10月6日(木)10:00から18:00
       7日(金)   最終日     10:00から16:00
◎ 場所:東京・有楽町 ジャパンシルクセンター
 白生地と着尺
  株式会社 伊と幸の純国産絹製品展示
◎ 日時:9月20日(火)から10月7日(金)
            10:00から18:00
◎ 場所:東京・有楽町 ジャパンシルクセンター

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