Monthly Silk News(絹だより) 
第216号(平成24年3月7日)
発行 社団法人日本絹業協会
リニューアル・テーマは“純国産絹”

蚕糸科学研究所 所長 清水重人   

 蚕糸科学研究所では、展示室を5年ぶりにリニューアルし、平成24年1月23日に関係者の見学会を開催しましたので、その概要について紹介します。
◆これまでの展示内容
 展示室は、昭和62年に建物の改築と同時に開設され、平成2年からはハイブリッド絹展終了後の展示品を展示していました。ハイブリッド絹展は、当時の生糸の需要拡大を図る目的で、洋装分野を主体として、ハイブリッドシルク等絹新素材の普及拡大を促進するため、シルク開発センターによる製品試作開発事業及びその試作品を毎年度末に蚕糸会館で展示する展示会の開催等を行っていました。平成2年の第1回から17年の第15回まで蚕糸会館で開催され、その後、ジャパンシルクセンターで国産シルク企画製品展を3回、純国産シルク企画製品展を2回、開催してきました。なお、ハイブリッドシルクとは、繭とナイロン等の他繊維と混合繰糸した糸をいいます。
振袖(株式会社千總提供)
花まゆ(酒井登巳子の作品)

 当展示室の展示内容は、平成17年の第15回ハイブリッド絹展の展示会後に入れ替えて以来、大幅な模様替えがないままになっていました。展示室内は、スポットライトや照明焼けによる色あせ等による汚れが目立ってきたこともあり、展示内容のリニューアルに合わせて、内装の張り替え、照明器具をLEDに交換、ガラスショーケース内の内装張り替え等を行いました。

◆「純国産シルク」をテーマに
 蚕糸・絹業提携支援緊急対策事業の進展にともない、それに関連した訪問者が増えている状況を踏まえ、展示品室のテーマを「純国産絹」とし、純国産絹製品に入れ替えるとともに、その特徴を来訪者にわかりやすく伝えられるような展示室を目指すことにしました。
 展示室正面には株式会千總の豪華な仮仕立ての振袖を展示しました。来訪者は最初にインパクトのある艶やかな振袖を見ることになります。
 そして展示コーナーを入った正面には「花まゆ」による小石丸の繰糸終了後の薄皮をさらに薄く剥がして、花びらや葉等に加工した豪華な薄皮の繭花を飾りました。細かい作業の積み重ねで大変な労力から生まれた繭花でこれも豪華な作品です。
 その他、有限会社ミラノリブ等提携グループによる、純国産絹マークが付いた製品も展示しました。
ニット作品のいろいろ
(有限会社ミラノリブ提供)
ふい絹ショール

◆研究成果の紹介
 展示室は当所の研究内容や開発した新素材等についてもわかりやすく展示するためのスペースでもあります。そこで、当所で開発したシルク素材を利用し、染色等の加工や整経を工房の方にお願いし、卓上織機でマフラーやショールを織り、それを展示しました。素材の特徴と手作りの温かさが伝わってきます。
 このように、所内開発の素材を使い、自ら織り、最終製品まで一貫して体験することで各工程の理解につながり、このことが織物産地や伝統技術等への興味をそそることになります。
 また、当所で開発した建染め染色技術で試作したネクタイおよび繭糸繊度の違いによる織物と衣服内気候の関連性から人間の快適性を評価するために試作したドレス等についても展示を予定しています。さらに、座繰り器やふい絹繰糸の原理を表現するための小型モーターによる動力式ミニ繰糸装置を展示し、来訪者の要望によっては実際に糸を繰って実演することもできるようになっています。

◆伝統文化に関わる展示
 国産の繭から作った絹弦の試作品と2弦琴を展示しています。これは貞明皇后蚕糸記念科学技術研究における研究の成果としての展示となっており、このような伝統文化に関連した研究成果についても展示しています。
       
座繰り器と動力式ミニ繰糸装置
国産繭による絹弦と2弦琴
情報提供用のモニター

◆大型液晶モニターによるプレゼンテーション
 展示室にはパネルの展示が少ないことに気付きます。これは一つのパネルを永く使わずに入れ替えることも必要ということから、パネルの基になる繭糸の断面や繰糸工程図等の画像についてはBGMつきのスライドショーで流す等TVモニターに集約しました。
 キモノの着付け、製糸の歴史等の動画についてもビデオライブラリーとして紹介可能になっています。その他、最新の研究トピックや国内外の繭や生糸生産量等の統計数量については提携支援センターのシルクレポートから抜粋した情報に基づいて紹介できるようにしました。

◆今後の方針
 今後は展示内容の入れ替えをこまめにしていくことが重要と考えています。純国産絹をテーマとし、純国産絹製品の展示情報提供の場として活用していきます。また、絹利用の系統樹の内容を意識した展示内容とともに、特に提携グループによる新商品や興味ある技術等については、シルクレポートや絹だよりを参考にして展示するなど、来所者にPRしていくことを考えています。
熊本で純国産絹製品展を開催
「希少な繭・手の温もり」をアピール
社団法人日本絹業協会

純国産絹製品展の開催
 当協会は、平成24年2月15日(水)から20日(月)まで熊本県内の報道機関(熊本日日新聞、熊本放送(RKK)、テレビ熊本(TKU)、熊本朝日放送(KAB)、熊本県民テレビ(KKT)、NHK熊本放送局、FMK、熊本シティエフエム)、(財)大日本蚕糸会、(社)日本絹人繊織物工業会、(社)全日本きもの振興会及び(社)熊本県蚕糸振興協力会の後援を得て、昨年に引き続き、鶴屋百貨店(熊本市)で純国産絹製品展を開催し、会期中延べ1,500名のお客様にご来場いただきました。(写真は盛大に催されたテープカット)

 純国産絹マーク使用許諾者等の出展者は、純国産絹マークの使用許諾者の11者と奄美島絹推進協議会及び琉球絣事業協同組合の参加を得て製品展示を行いました。
・出品の純国産絹マーク使用許諾者(11者):
 荒川(株)、(株)伊と幸、(株)岩田、(株)小倉商店、織匠万勝、(株)加藤萬、絹小沢(株)、田中種(株)、(株)千總、宮井(株)、手織りよおん
・ジャパンシルクセンターコーナー(4者):
 碓氷製糸農協、(有)ミラノリブ、富岡シルクブランド協議会、(株)甲斐絹座の製品の展示を行いました。
 後援を頂いた熊本日日新聞が取材記事の掲載、NHK熊本放送局、熊本朝日放送、くまもと県民テレビ、テレビ熊本の取材がありニュースで報道をしていただくことができました。

鶴屋百貨店の熊本繭に対する取り組み
 平成23年の熊本県下の養蚕農家は、6戸で580Kgの繭の生産を行っています。全国の繭生産量220トンのうちの0.3%のシェアです。生糸量にすると100Kg程度の収量になります。鶴屋百貨店では、本年6月に開業60周年を迎えるに当たり、これを機に結城紬を制作発表する企画を進めています。

展示会の様子
 蚕の飼育展示コーナーでは、当初生きているカイコを触ることをいやがった人も日を重ねるにつれてカイコに触れることができ、かわいい、冷たくて気持ちがいい、新幹線に似ていると言われていました。営繭の様子をみて蚕が糸を吐糸する様子を見てその神秘さに驚く方が多くおられました。また、カイコをみて昔を想いだし涙ぐむ方もおられました。
 上州式座繰実演コーナーでは、ぐんま黄金(黄色の繭)、ぐんま200(白い繭)で繰糸の実演を行いました。生糸は、こんな細い糸が束になり生糸ができるのね、1本の繭糸を切り、1本でも強いと分かってくださる方々がおられました。また、昔は繭から眞綿を紡いで織物を作っていたので懐かしいという方もおられました。

かわいいゆるキャラのくまもんさんが案内
ぐんまちゃん(左)とくまもんさんが
繰糸の実演を行いました
●イベント情報

 帯、和小物など
第3回 染色作家 鳴瀬直幸の作品展
  
◎ 日時:平成24年3月12日(月)〜31日(金)10:00〜18:00
             31日(金) 最終日  10:00〜15:00
◎ 場所:ジャパンシルクセンター 東京・有楽町 蚕糸会館1階
◎ 主催:ジャパンシルクセンター

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