Monthly Silk News(絹だより) 
第219号(平成24年6月11日)
発行 社団法人日本絹業協会
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弊社と国産糸との関わりについて

株式会社 桝屋高尾 高尾朱子   

 弊社は工芸織物(株)桝屋 尾と申しまして、京都は西陣の地に措きまして約百年足らず、主に帯を製造する織屋を営んでおります。祖父の代に、兄弟二人で創業、その後、兄弟別々になったあと、祖父は五十歳の若さでこの世を去りました。跡を、祖母、父と代を繋げ、創業の精神「文化性の高い織物を創造する」ということに、時代を超えて取り組み続けております。
 さてこのようなものづくりの考え方の中で、必然的に行き着いたのが、「国産糸」であります。私どもの取り組みの歴史は約二十年前にさかのぼるようです。
 はじめは、弊社で「渡来錦」と呼んでおります最も高級ゾーンの帯を制作する際に、この国産糸に取り組みました。当時、私はまだ会社に居りませんので詳しいことは知りませんが、お知り合いの伝で「小石丸」を分けていただき、使わせていただいていたそうです。そのころに父はつくばの研究所にもお邪魔させて頂いたそうです。このシリーズは現在でも、「錦秋×鐘和」という品種に替え、国産糸を使い続けています。
 その後、平成18年に、弊社で「天平綾錦」といっております、先染めのきものを発表いたしました。そのときには群馬県蚕糸技術センターが、改良を重ねて作り上げた蚕品種「世紀×21」を、群馬県松井田町の新井様、寺島様に育ててもらい、その蚕を碓氷製糸農業協同組合で徹底的に選繭(死にごもり繭の完全除去)し、14中に、製糸してもらいました。またその操糸方法も現在の操糸の仕方からすれば非経済的なゆっくりした速度にとお願いいたしました。

世紀21で織った帯


 とにかく、昔の織物のような、しなやかで、光沢があり、軽いものを創り出したいという思いから、この「世紀×21」にたどりつくまでにさまざまに試行錯誤を繰り返しました。縁あって、研究者の方に分けていただいた当時研究中の『糸「Z」』。私どもでは普通は糸屋さんを経由して買うので見えなかった、原糸から使える状態になるまでのことが勉強できました。しかしながら、実用には全く使うことが出来ませんでした。
 さらには扁平糸を試しました。こちらは単糸で経糸に使用したところ、糸がももけてしまいこちらも残念ながら使用できませんでした。そのようなことを経てようやくたどり着いたのが「世紀×21」です。
 ご存知のように、長糸長・中細繊度の特徴を持ち生産性の優れた成績が認められ、平成3年3月に特徴ある蚕品種として農林水産大臣より指定を受けた「世紀×21」は21世紀の蚕糸業の発展に寄与することを願って命名されました。また群馬県オリジナル蚕品種として最初に認定された蚕品種でもあります。
 一般に、繭は繭重が重くなると繭糸繊度は太くなるが、本蚕品種は日本種の「世」と「紀」、中国種の「二」と「一」の4つの原種の組み合わせによって、繭重が重くなっても、現行の普通の繭糸より細い糸繊度は2.61デニール内外になるような交配形式である四元交雑種です。一つの繭から取れる生糸量はやや少なめであるが、繭糸長は1,545mと長く、生糸は染色性に優れ、コシが強いことが特徴です。生地のしなやかさ、風合いを決めるのはこの糸繊度によるところが大きいのはご存知とおりです。出来上がった一本の糸は、同じ太さでも細い糸を合わせて同じ太さのデニールに合わせるほうが、糸はしなやかで、柔らかくなるものです。
 さらに 14中2本合せという細さの経糸は、普通あまり使いません。なぜなら織りにくいからです。平たく言うと、繭糸そのものも昔のような細い糸なら、これを合わせて実際に使う糸自体もごく細く仕上げているということがもっとも肝要な点で、たとえ単糸が細くてもそれを沢山合わせた糸で織るならば、できた生地がどうなるか。これは言わずもがなでしょう。
 さて、このような工夫を重ねて、国産繭を使った織物つくりに取組んでまいりましたが、残念ながら、このきものは現在生産を継続してはおりません。市場の求めるものと、違っているということでしょうね。

養蚕農家のご夫婦と筆者(右)
養蚕農家の蚕室


 現在も継続させていただいている「渡来錦」については、昨今のブランド繭をめぐるさまざまな問題の影響等を受け、現在では品種を変更したものづくりに切り替えました。悲しいかな、すばらしい糸を使う機会が奪われているのが現況です。
 そこで、私どもでは、どの糸を使うかではなく、糸をどのように使うかに力点を移し、難しい時代背景のなか、今日も美しい織物を創造し続けていく所存です。


  純国産絹マーク使用許諾について(平成24年度第1次分)
 純国産絹マークの平成24年度第1次審査会を平成24年5月25日(金)に開催しました。今回、13者(うち、新規使用許諾申請が2者で新規製品が3品目、使用許諾されている者の製品の追加が7品目、生産数量の追加が21品目)から申請があり、審査委員会で審査した結果13者に対し、5月31日(木)付けで純国産絹マーク使用許諾する旨を通知しました。
純国産絹マーク使用許諾企業名
(表示責任者名)
表示対象
製 品 名
表示対象
数 量
生産履歴の内容
(提携養蚕農家・企業等)

株式会社マルシバ
代表者名:木下幸太郎 
(担当者:野口俊二)
東京都中央区日本橋人形町3-5-4
Tel:03-3662-2431
表示者登録番号:160



裏絹(胴裏)

 

 


    50枚



蚕品種  白繭細1号
繭生産  JA上伊那・JAみなみ信州管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  (株)東野東吉織物

株式会社みつわ
代表者名:田仲雅博 
(担当者:田仲雅博)
大阪府大東市赤井1-4-3
Tel:072-873-3139
表示者登録番号:161

後染反物(小紋)
(変一越)
(紋意匠)


  

    5反
    5反


制作企画 田中種(株)
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)

(製品の追加)
株式会社甲斐絹座
代表者名:前田市郎
(担当者:前田市郎)
山梨県富士吉田市下吉田
          2-25-24
Tel:0555-23-2280
表示者登録番号:149

ストール
パジャマ
トランクス


    
   1,000枚
    200着
    500枚

 

蚕品種  春嶺鐘月、錦秋鐘和
繭生産  山梨県内養蚕農家
製 糸  松沢製糸所
染 色  (有)石森染色
製 織  自社
加 工  自社
(製品の追加)
株式会社鶴屋百貨店
代表者名:久我彰登
(担当者:平川秀夫)
熊本市中央区手取本町6-1
Tel:096-356-2111
表示者登録番号:116
先染反物(結城紬)      2反 制作企画 日本蚕糸絹業開発(協)
繭生産  有水健喜(熊本県下益城郡美里町)
手紬糸生産(株)小倉商店
染 織  (株)小倉商店
(製品の追加)
株式会社牛島屋
代表者名:武内保衛 
(担当者:武内保衛)
富山県富山市中央通り1-6-9
Tel:076-420-3450
表示者登録番号:82
後染反物(小紋)
(変一越)
(紋意匠)

    50反
    50反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JA碓氷安中・JAにったみどり管内
     養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)
(製品の追加)
株式会社西陣まいづる
代表者名:舞鶴一雄 
(担当者:舞鶴一雄)
京都市上京区五辻通大宮西入
           五辻町39
Tel:075-441-0001
表示者登録番号:112


帯地 (絽九寸帯)
(金銀糸5%を
  超えるもの)
     40本
繭生産  群馬県安中市養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
撚糸加工 丸八生糸(株)
製 織  自社
販 売  青山きもの学院

(生産数量の追加)
株式会社ふじや
代表者名:大庭廣信 
(担当者:大庭廣信)
福岡県朝倉市甘木944
Tel:0946-22-2358
表示者登録番号:157


後染反物(小紋)
(変一越)

      2反 制作企画 田中種(株)
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)
染 色  高田勝(株)
(生産数量の追加)
日本蚕糸絹業開発協同組合
代表者名:小林幸夫
(担当者:土井芳文)
群馬県高崎市問屋町3-5-3
Tel:027-361-2377
表示者登録番号:021
裏絹
(トルマリン加工)
(灰汁浸け加工)

   1,700枚
   3,300枚
制作企画 絹小沢(株)
蚕品種  ぐんま200
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  丸進機業(株)  
精練加工 (有)江島屋染工場
(生産数量の追加)
株式会社まるため
代表者名:小池正司
(担当者:小池正司)
長野県長野市南千歳1-3-5
Tel:026-227-5291
表示者登録番号:078
裏絹
(トルマリン加工)

     300枚
制作企画 日本蚕糸絹業開発(協)
蚕品種  ぐんま200
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  丸進機業(株)  
精練加工 (有)江島屋染工場
(生産数量の追加)
長島繊維株式会社
代表者名:長島秀武
(担当者:長島誠)
栃木県足利市旭町852
Tel:0284-41-7381
表示者登録番号:122
後染反物(着尺地)      31枚 蚕品種  錦秋鐘和、春嶺鐘月
繭生産  東京都多摩地区養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  河芳織物(有)
染 色  自社
(生産数量の追加)
株式会社小倉商店
代表者名:小倉敏行
(担当者:小倉進吾)
茨城県結城市大字結城116
Tel:0296-32-2121
表示者登録番号:041

先染反物(結城紬)
先染帯地(結城紬)

    85枚
    20本
蚕品種   朝・日×東・海
繭生産   JA伊達みらい管内養蚕農家
真綿生産  (有)関根商店
手紬糸生産 自社
染 織   自社
(生産数量の追加)
株式会社銀座もとじ
代表者名:泉二弘明
(担当者:青江良和)
東京都中央区銀座4-8-12
Tel:03-5524-3222
表示者登録番号:011
白生地
(着尺地)
(長襦袢地)
(帯地)

    20反
    20反
    20反
蚕品種  プラチナボーイ
繭生産  千葉県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  江口機業(株)
白生地
(着尺地)

    20反
蚕品種  プラチナボーイ
繭生産  茨城県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  田勇機業(株)
先染着尺
(大島紬)

    30反
蚕品種  プラチナボーイ
繭生産  茨城県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  (有)益田織物
先染反物
(染織作家物)
先染帯地
(染織作家物)

     4反

     6本

蚕品種  プラチナボーイ
繭生産  茨城県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  からん工房深石美穂
(生産数量の追加)
株式会社千總
代表者名:仲田保司
(担当者:俵武司)
京都市中京区三条通
    烏丸西入御倉町80
Tel:075-211-2531
表示者登録番号:001
後染反物
(振袖)

    80枚
繭生産  青森県・岩手県内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  (株)松浦絹織
染 色  自社

(振袖)
 
    190枚 繭生産  青森県・岩手県内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織 (株)竹林
染 色  自社
(色無地)     50枚 繭生産  青森県・岩手県内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  美雲織物(株)
染 色  自社
(振袖)
    80枚 繭生産  岩手県内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  美雲織物(株)
染 色  自社
(振袖)
    150枚 繭生産  岩手県内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  (株)松浦絹織
染 色  自社
(訪問着)
    100枚 繭生産  岩手県内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  加賀グンゼ(株)
染 色  自社
(振袖)
    90枚 繭生産  岩手県内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  美雲織物(株)
染 色  自社

 次回審査会(平成24年度第2次)の予定は平成24年7月31日(火)です。
 純国産絹マークの使用許諾を申請される方は、事務局との事前協議を経た上で、次回審査会の10営業日前(平成24年7月17日(火))迄に、純国産絹マーク使用許諾申請書を提出してください。

     

●イベント情報


 ●第22回 絹 まつり
◎ 日時:平成24年7月2日(月)〜7月4日(水)
                 10:00〜18:30
      7月5日(木) 最終日 10:00〜17:00
◎ 場所:ジャパンシルクセンター
       東京・有楽町 蚕糸会館1階
◎ 主催:社団法人 日本絹業協会/ジャパンシルクセンター

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