Monthly Silk News(絹だより) 
第222号(平成24年9月10日)
発行 財団法人大日本蚕糸会
絹に魅せられて―絹(kimono-fuku)服―

さくら工房 家村美千子 内田澄子   


はじめに

 この6月、京都産業会館で開催されました「純国産絹製品展」において、田中種株式会社展示スペースに、純国産絹の反物で制作しました絹服(kimono-fuku)を展示させていただきました。
 純国産絹反物の白生地、ぶどう唐草紋地を柑子(こうじ)色に染め、袖や裾のフリルやぺプラムは生成り色に染めて重ねた、ワンピースとジャケットのアンサンブルです。
 さくら工房は日本伝統文化の粋ともいえるきもの地を「最上級の素材」ととらえ、絹服(kimono-fuku)と名付けた上質でエレガントな洋服を制作しています。
 手で加減しながら縫い上げる繊細なきもの地を、ミシンで曲線に縫製し、アイロンで立体的に仕上げるのは大変難しいものがありますが、絹の風合いや何とも言えない日本の色、多様な紋様の魅力は、挑戦に値する大きな存在です。
 新しい反物での制作にこだわるのは、幅38cm長さ13mの着尺をフルに使いたいこともありますが、何より重要なことは、新しい反物の持つ「力」を大切に思っているからです。

絹服と松岡正剛氏

 さくら工房は、百貨店でRalph LaurenやDKNYなど婦人服に携わっていた家村と、きものが大好きで着ると元気になれる内田が2003(平成15)年に設立しました。絹の奥深さも知らぬまま、きもの地の服を日常で纏(まと)えたらどんなに幸せか、との思いから始まりました。15歳の年の差のある2人が親しくなったきっかけは、“松岡正剛(まつおかせいごう)氏を知っている”(勿論その時はお名前だけでしたが)ということからでした。20年以上も前の事です。
 京都で呉服屋さんを営むご両親のもとに生まれ、幼少より俳句や歌舞伎などに親しみ、日本文化研究の第一人者として定評のある松岡さんは、編集工学研究所所長として平安建都1200年や平城京遷都1300年記念行事の中核でお仕事をされ、現在は経済産業省クールジャパン有識者会議の副座長も務め、著書に「花鳥風月の科学」「山水思想」 「日本数寄(すうき)」等々のある方です。私たちは松岡さんの周辺のイベントに参加して刺激を受けながら、日本文化の素晴らしさや特徴を再認識し、進んできました。見えないものも大切だとも感じています。そんなご縁から、工房設立の際「さくら工房」をご揮毫いただきました。
 自分たちの直観と感性に従ってかすかな方向を手探りで進む、私たちにぴったりの書体を書いていただきました。今、思うと不思議というかむしろ当然なことなのですが、スタート時に「絹服」というネーミングも決まっていたのに、お願いしたのは「さくら工房」だけだったのです。

左:柿渋染め紬スーツ、右:紅型
  単衣ジャケット+白生地パンツ
絹服のロゴマーク
加賀友禅フォーマルドレス

 後に、「絹服」をお願いしたときに分かったことは、絹服ついては確立できていなかったから意識に上がることもなく思いつきもしなかったのだ、ということでした。
 何事も内、外の一致がなくては成されないのかもしれません。絹服のルビをお願いした時の事です。普通のルビのふりかたしか思っていなかった私たちに 松岡さんは「絹」と「服」の間にローマ字のkimonoとfukuを置いて下さり、「これは僕の字ではなくて、一般的に使われているフォントがいいね」と言われ、「その方が絹服が世界に出て行けるよ!」とおっしゃってくださいました。
 その絹服を囲む2本の手書きの線は私たちの腕を表し、桜の花びらはハートでもあるとイメージしています。そしてこのマークに「日本製」の文字を早く加えなくては、と思っています。

純国産絹への思い

 絹業協会様とのご縁ができましたのは、7年くらい前だったと思います。ホームページで「日本の絹」マークを見て一目惚れした私たちは、絹業協会さんにメールを送り、お訪ねいたしました。松岡さんが日本の方法を説く「連塾」への参加で家村が上京する度、当時の専務理事の西さんが時間を取ってくださいました。
 私たちが購入している反物にも押印されている「日本の絹」マークをどうしたら頂けるのか 、と単純に思っての訪問でしたが、それが後に「純国産絹マーク」となり、生産から一貫しての国産の証がいる事がようやく理解できたのです。今でも「日本の絹」マークにはとても惹かれてしまいます。とても魅力を感じるのは、マークには時間的なものを含めて凝縮された情報や思いがこめられているからだと感じています。
 以前から感じてきた反物の力は、長い伝統の中で洗練された大勢の人の技術や思いの賜物だと思っていましたが、それにも増して、日本国内で日本人の手で一貫して作られた「純国産絹」は、「格別価値のあるもの」だと思っています。
 昨年の3・11を経験しての私たちは、より「日本」を考えざるを得ません。日本を考えたとき、その縦糸になる絹の文化の中で自分たちにできることは何かを、探っています。


                        絹 の 贅 沢
 きもの地は最上級の素材です。紋様は多様で華やかに、日本の色は優しく肌を引き立て、絹の風合いはしなやかに心地よくからだに添います。
 新しい反物の持つ「ちから」は触発されたデザインと出会い、心を込めた縫製で仕上げられ上質で優雅な絹服(きも のふく)が誕生します。
 エレガントな絹服は、装う人はもちろんのこと周りの人々をも優しく幸せな気持ちにしてくれます。
 日本人に生まれてこそ味わえる絹の贅沢、日本の文化の素晴らしさ を実感できる瞬間です。
 「絹だより」に取り上げて頂く機会を得て、業界諸先輩の皆様とのご縁ができて、奥深い絹の世界をご指導いただけますことを 願っております。ありがとうございました。


  純国産絹マーク使用許諾について(平成24年度第2次分)

平成24年8月6日          
社団法人日本絹業協会           

 純国産絹マークの平成24年度第2次審査会を平成24年7月31日(火)に開催しました。今回、14者(うち、新規使用許諾申請が8者で新規製品が12品目、使用許諾されている者の製品の追加が7品目、生産数量の追加が5品目)から申請があり、審査委員会で審査した結果14者に対し、8月6日(月)付けで純国産絹マーク使用許諾する旨を通知しました。
純国産絹マーク使用許諾企業名
(表示責任者名)
表示対象
製 品 名
表示対象
数 量
生産履歴の内容
(提携養蚕農家・企業等)

(新規申請者)
福絖織物(株)
代表者名:丸本繁規
(岡担当者:丸本徹)
福岡県福市西区泉1-18-4
Tel:092-806-1223
表示者登録番号: 162



先染帯地
(本袋男帯)

 

 



   260本



蚕品種  ぐんま200
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
染 織  自社

(新規申請者)
(株)大谷屋
代表者名:河井のり子
(担当者:河井のり子)
新潟県新潟市中央区古町通7-948
Tel:025-223-5053
表示者登録番号:163

白生地(表地) 


  
    30反


制作企画 (株)丸上
繭生産   茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織   (株)匠

(新規申請者)
(株)東京藤屋
きものレディ着付学院
代表者名:小沢延年
(担当者:小沢延年)
東京都品川区南大井3-23-8
Tel:03-3764-0641
表示者登録番号:164

白生地(表地)

     30反 制作企画  (株)丸上
繭生産   茨城県南地域養蚕農家
製 糸   碓氷製糸農協
製 織   (株)匠
(新規申請者)
(株)染織こうげい
代表者名:砥綿健
(担当者:砥綿健)
東京都中央区東日本橋3-1-1
Tel:03-3669-4233
表示者登録番号:165
白生地(表地)      30反 制作企画  (株)丸上
繭生産   茨城県南地域養蚕農家
製 糸   碓氷製糸農協
製 織   (株)匠
(新規申請者)
近江真綿振興会
代表者名:北川茂次郎
(担当者:北川茂次郎)
滋賀県米原市多和田1406
Tel:0749-54-0227
表示者登録番号:166
布団
膝かけ

   100枚
   400枚
(側)
繭生産     JA愛媛たいき・JAえひめ南管内
      養蚕農家
製 糸   松澤製糸所
製 織   加賀グンゼ(株)、(株)おおまえ
(詰物)
繭生産    JA愛媛たいき・JAえひめ南管内
      養蚕農家
真綿生産  北川茂次郎・ 原田誠祐商店
布団製造  北川茂次郎・ 原田誠祐商店
(新規申請者)
(株)にしむら
代表者名:笹倉雅人
(担当者:笹倉雅人)
兵庫県西脇市西脇1041-2
Tel:0795-22-2521
表示者登録番号:167
後染反物(小紋)
   (変一越)
   (紋意匠


     10反
     10反

制作企画 田中種(株)
繭生産  JAにったみどり管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織   南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)

(新規申請者)
(有)きものおおにし
代表者名:大西治代
(担当者:大西治代)
大阪府東大阪市日下町6-2-5
Tel:072-981-3204
表示者登録番号:168

後染反物(小紋)
   (変一越)
   (紋意匠)

     10反
     10反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JAにったみどり管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)
(新規申請者)
(株)コノエ
代表者名:鹿取源一郎
(担当者:鹿取源一郎)
東京都豊島区駒込2-2-1
Tel:03-3949-7211
表示者登録番号:169

後染反物(小紋)
   (変一越)
   (紋意匠)


     30反
     30反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JAにったみどり 管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、 芝井(株)
染 色  高田勝(株)
(製品の追加)
(株)川平屋
代表者名:伊藤正人
(担当者:伊藤正人)
愛知県豊田市桜町2-34
Tel:0565-32-0902
表示者登録番号:085

(製品の追加)
後染反物(小紋)
   (変一越)
   (紋意匠)


      5反
      5反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JAにったみどり 管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)
(製品の追加)
(株)ナカノ
代表者名:中野剛至
(担当者:中野剛至)
大分県大分市大道町1-6-15
Tel:097-544-0308
表示者登録番号:147

(製品の追加)
 後染反物
  (加賀友禅)

     
 6反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JAにったみどり管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)
染 色  (株)カネヒサ
(製品の追加)
(株)マルシバ
代表者名:木下幸太郎
(担当者:野口俊二)
東京都中央区日本橋人形町
      3-5-4
Tel:03-3662-2431
表示者登録番号:160

(製品の追加)
ふくさ


    720枚
蚕品種   蚕技研11号
繭生産   JA茨城みどり管内養蚕農家
製 糸   碓氷製糸農協
製 織   芋田織物
染色・縫製 久保商事(株)
(生産数量・製品の追加)
織匠万勝
代表者名:前田章
(担当者:前田健)
京都市中京区姉小路通
    堀川東入る鍛治町173-1
Tel:075-257-5747
表示者登録番号 026


先染帯地(袋帯)
先染帯地
  (名古屋帯)
先染反物(御召類)
(製品の追加)
先染帯地(袋帯)
金銀糸が5%を超えるもの
(製品の追加)
先染帯地(袋帯)
金銀糸が5%を超えるもの
(数量の追加)
    250本

    150本
    150反

     50本


     50本

繭生産  JA佐波伊勢崎養蚕連絡協議会
     養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
染 色  自社
製 織  自社  

(生産数量の追加)
日本蚕糸絹業開発協同組合
代表者名:小林幸夫
(担当者:土井芳文)
群馬県高崎市問屋町3-5-3
Tel:027-361-2377
表示者登録番号:021

後染反物(紋付地) 
(変三越)
(駒絽)

(数量の追加)
    120枚
     50枚

制作企画 絹小沢(株) 
蚕品種  世紀二一
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸   碓氷製糸農協
製 織  坪金工業(株)
染色加工  (株)京都紋付
(製品の追加)
(株)銀座もとじ
代表者名:泉二弘明
(担当者:久保智)
東京都中央区銀座4-8-12
Tel:03-5524-3222
表示者登録番号:011
 (製品の追加)
先染帯地
(織九寸帯)


  20本
蚕品種  プラチナボーイ
繭生産  茨城県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
染 織  (株)織楽浅野

 次回審査会(平成24年度第3次)の予定は平成24年9月11日(火)です。
 純国産絹マークの使用許諾を申請される方は、事務局との事前協議を経た上で、審査会の10営業日前(平成24年8月27日(月)迄に、純国産絹マーク使用許諾申請書を提出してください。

     


イベント情報

第9回 日本の絹展
◎ 日時:平成24年10月18日(木)〜10月23日(火) 10:00〜20:00
                    最終日  18:00まで
◎ 場所:日本橋高島屋 (東京都中央区日本橋)
◎ 主催:社団法人 日本絹業協会

桜岡民枝ニット作品展
◎ 日時:平成24年9月10日(月)〜9月14日(金) 10:00〜18:00
                    最終日  17:00まで
◎ 場所:ジャパンシルクセンター 東京・有楽町蚕糸会館1階
◎ 主催:社団法人 日本絹業協会/ジャパンシルクセンター

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