第101号(平成14年6月1日)

2002年秋冬ファッション動向

ボヘミアン継続、シルクをアクセントに高級感

デザイナーは付加価値の高い素材を求める傾向

日本繊維新聞社 市川重人

 2002年秋冬東京コレクションでは、ボヘミアン(遊牧民)を中心とするフォークロア(民族調)のトレンドが先シーズンに続き継続されました。素材を見ると、コットンの風合いを活かすスタイリングに加え、高級感のあるラグジュアリーなルックスではシルク素材を効果的に使用しています。ここでは02年秋冬の東コレで、目立ったコレクションと素材使いを絡めながら解説していきます。

 政治惰勢やマーケツトの不透明感など、今の気分がそうさせるのか、シンプルでシックなコレクションが目立ちます。そのためでしょうか、現在のトレンドになっているボヘミアンなどの民族調が秋冬シーズンまで継続し、新しいトレンドを生み出すというリスクを避けた結果になったようです。その中で、明るい未来を予期、そして希望を抱かせるフラワープリントが数多く発表されました。色やトーンは控えめですが、むしろフォルムは力強いもので、マインドの根底にあるものを"咲かせた"ように感じました。

 改めてフォークロアモチーフで美しいバランス感覚を見せたのはツモリ・チサト(津森千里)です。真新しさはないものの、ストライプやドット、レザーやベルベットといった柄・素材をスタイリングし力強くまとめています。同様のアイテムは他のデザイナーも発表していましたがツモリの方が上手。時折見せるシルクの光沢でラグジュァリーなイメージを盛り込み、大人のフォークロアヘと仕上けていました。

 フォークロアに"手仕事"というクラフトワークを組み合わせたキョウイチ・フジタ(藤田恭一)は、多素材を巧みにスタイリングしています。以前からフォークロアをコレクションに採り入れていたこともあり、非常に巧さが目立つショーを構成しました。素材は全て国内で調達し、付加価値の高い一ものを採用していました。参考商品ですが、レースの上に漆(うるし)を何度も塗ったジャケットなど、珍しい素材が盛り沢山。

 しかし、ここに「シルク浮上」のヒントがあるように感じます。中国生産に勝る付加価値をどんどん訴求することが、日本発信のシルクを浮上させるきっかけになるでしょう。もちろん日本人の各デザイナーも日本発信のシルクに対して、クオリティーが高いことは認知しています。今シーズンの東コレでオープニングを飾ったぺ一ジュショップ(佐藤ヒサコ)も、フォークロアにラグジュアリーな素材感を組み込み、ブランドのコンセプト占を固めていました。シルクスカーフをドレスに昇華するなど、シルクを効果的に採用。ブランド名にもなっているべージュカラーを基本に、一部でゴールドをアクセントにしたスタイルは美しいものです。またシルクに加え、リアルファーやレザーを組み合わせ、異なる素材でコーディネートするバランスにも長けています。

 このように日本の実力派デザイナーたちは、シルクを効果的に見せ、コレクションのクライマックスを演出する傾向にあります。それには付加価値の高いシルクを採用しなければらなず、常に良い素材を求めて産地に赴くデザイナーも居るようです。


第8回企画展

「皇居のご養蚕展」を開催して

群馬県立日本絹の里 係長 岡野偉彦

日本絹の里では、4月19日から6月9日まで延べ52日間にわたり、宮内庁並びに(財)大日本蚕糸会の協力を得、120点余りの資料を展示して「皇居のご養蚕展」を開催しました。

1 開催趣旨

日本人の衣食を支える農事の象徴として、皇居内では天皇陛下のお稲作とともに皇后さまがご養蚕をされています。

皇室がご養蚕をされることは、明治時代には日本近代化の率先垂範の象徴として、その後は蚕糸関係者の励みともなりました。

維新間もない明治4年に始まった宮中最初のご養蚕のお世話役に、上野国島村(現群馬県境町島村)の田島武平が任じられるなど、ご養蚕と群馬県とは深いかかわりがあります。明治以後現在に至るまで多くの群馬県関係者が奉仕に伺っております。

これまで養蚕が日本の発展に寄与した歴史を振り返り、今後も日本の絹文化を発展させるため、全国一の蚕糸県である群馬県で明治から現在までのご養蚕について紹介しました。

2 展示内容

(1)ご養蚕の歴史

日本書紀(5世紀)にもご養蚕に関する記述がありますが、現在の形になったのは、昭憲皇太后が吹上御苑内の茶室において復活されてからです。以来一時的な中断の時期はあったものの、皇后御親蚕という形で英照皇太后、貞明皇后、香淳皇后そして現皇后さまへと引き継がれています。なお、現在の御養蚕所は、大正3年貞明皇后が皇居の森深く紅葉山に新築したものです。

《展示資料》

・紅葉山御養蚕所で生産した歴代の繭標本

・過去及び現在の御養蚕所の蚕具類

・歴代皇后のご養蚕に関わる御歌他

(2)平成のご養蚕

皇后さまのご養蚕は、静かな伝統行事の継承とともに正倉院の宝物復元という新たな役割を担い、文化の保全という観点からもその意義を見出されています。

1)御養蚕所の皇后さま

御養蚕所では基本的に、年1回春蚕を飼育し、200kg以上の繭を生産しています。皇后さまは、掃立に際して行う「御養蚕始の儀」とその年の収穫を供える「御養蚕納の儀」の2つの儀式を執り行われる他、定例行事として御給桑(第1回)、御給桑(第2回)、上蔟、初繭掻きという4回のお出ましがあります。さらに、ご公務の合間を見て、ご養蚕を行う2ケ月余りの間に20回前後もお出ましになられるということです。そして、屋外の網室で飼育されている天蚕・柞蚕の山付け、摘桑、藁蔟作り等の作業をなさいます。

ご養蚕に大変ご熱心に取り組まれている皇后さまは、平成4年の歌会始において次のような御歌を詠まれました。

御題「風」

葉かげなる天蚕はふかく眠りゐてくぬぎのこずゑかぜわたりゆく

2)正倉院の絹織物復元

御養蚕所では3種類(品種)の蚕を飼育しています。そのうちの1つが、明治38年貞明皇后が東京蚕業講習所から献上を受けた純粋な日本種「小石丸」です。

奈良正倉院では、平成6年から所蔵する絹織物の復元計画を立てました。しかし、最大の間題となったのは、1200年前の織物に使われていたような生糸がもはや日本では生産されていないことでした。

正倉院事務所では現存するものの中で最もその時代の品種に近いものとして、御養蚕所の「小石丸」の御下賜を願い出ました。現在、毎年約40kgの繭を正倉院に送られています。

《展示資料》

・皇后さま直筆の御歌

・皇后さまお手製の改良藁蔟・皇后さまの御養蚕所でのご様子のお写真他。

3 おわりに

皇后さまは、養蚕が日本で絶えないで欲しいと願っていらっしゃいます。生業としての養蚕は容易なものでなく、生活の場、実際の場で養蚕を活かす道がないか、折々お考えになられているご様子です。蚕を育てている方々を思いながら、紅葉山でご養蚕を続けていらっしゃるということです。

この企画展は、昨年敬宮愛子さまがお生まれになられたこと等により、皇室に対する関心が高く、県内外から大きな反響がありました。企画展開催にあたり、ご養蚕にかかわる貴重な資料を提供いただいた宮内庁侍従職をはじめ、御協力いただいた関係各位に厚くお礼申し上げます。

イベント情報

ジヤパンシルクセンター夏季特別セール

第2回 絹まつり

★シルク愛好の皆様が待望の第2回絹まつリを開催いたします。フェアー開催期間中は様々なシルク製品をお求めやすい奉仕価格で販売いたします。ご期待下さい。

とき

平成14年7月9日(火)〜11(日)

10:00-19:00

ところ

東京千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館1階 

電話

03-3215-1212

主催

ジャパンシルクセンター 

社団法人日本絹業協会

【同時關催】

ジャパンシルクフオーラム2002秋冬コレクション予約受注会

『上質感の差別化』と『安心感』をあなたへ

会場

蚕糸会館6階展示場

協賛

(株)香織

タクティックアンドカンパニー

2003春夏コレクション

会場

蚕糸会館6階展示場

タクティックアンドカンパニー