第105号(平成14年10月1日)

02年秋冬東京コレクションから店頭状況を探る

リスク避け、継続トレンド「フォークロア」モチーフ継続

日本繊維新聞 市川重人

 現在店頭に出ているデザイナーズブランドの服を見ると、02年秋冬東京コレクションで発表されたボヘミアン(ジプシールック)を中心とするフォークロア(民族調)が数多く打ち出されています。また明るい未来を想起させるフラワープリントというトレンドが発表されたのも大きな特徴です。シックな黒をベースカラーに、前述したモチーフを組み合わせたスタイルで、ややおとなしめのコレクションが主流となっているようです。

 政治情勢やマーケットの不透明感など、今の気分がそうさせるのでしょうか、シンプルでシックなコレクションが目立ちます。昨年からのトレンドになっているボヘミアンなど民族調が秋冬シーズンまで継続され、新しいトレンドを生み出すというリスクを避けた結果に一。その中で、明るい未来を予期、そして希望を抱かせるフラワープリントが数多く発表されました。色やトーンは控えめだが、むしろフォルムは力強いもので、マインドの根底にあるものを咲かせたものです。

 改めてフォークロアモチーフで美しいバランス感覚を見せたのはツモリ・チサト(津森千里)です。真新しさはないものの、マルチストライプやドット、レザーやベルベットといった柄・素材をスタイリングし力強くまとめていました。同様のアイテムは他のデザイナーも発表しましたが「ツモリ・チサト」の方が上手です。ベアトップなどセクシーなディテールも織りまぜ、実力通りのコレクションとなりました。

 フォークロアに"手仕事"というクラフトワークを組み合わせたキョウイチ・フジタ(藤田恭一)は、多素材を巧みにスタイリングしています。以前からフォークロアをコレクションに採り入れていたこともあり、巧さが目立つものです。

 さらに実力派ブランド、ベージュショップ(佐藤ヒサコ)も、フォークロアにラグジュアリー(高級感)な素材感を組み込み、ブランドのコンセプトを固めています。

 イトキンと提携したワイ・コンタクト・バイ・マサフミ・ヨシカワ(吉川真史)は、提携という形が良い方向に進んだようです。ノスタルジックなイメージでキャリアマーケットを意識した単品に加え、パーカなどスポーティーなアイテムも導入しました。立体的なフォルムに、着やすいアイテムでブランドの幅を広げている。

 02年秋冬シーズンを最後にパリコレクションに進出したアンダーカバー(高橋盾)は、魔女をモチーフに新しいものを生み出そうと苦心の跡がうかがえます。

 全体的にはトレンドがフォークロアに集中したこともあり、素材感が一層大切になっています。他と差別化するためにシルクを混紡したり、高級感を出すためにシルクを多用するなど"シルク・スタイル"は多岐に渡ります。また各デザイナーは、安価なシルクよりも高級なシルクを使う傾向が強いようです。


大手アパレル企業・秋冬企画

店頭でスキッパーが売れ筋に浮上、秋冬はエレガンスムードに

天然素材が引き続きトレンドに、光沢感のあるシルクは重要素材

 大手アパレル企業において、レディストレンドをけん引したフォークロア(民族調)、ボヘミアン(ジプシールック)といった企画が継続してヒットしました。エレガントな単品アイテムが動いたこともあり、大手アパレル各社は3,4月度が好調に推移。5月度は前倒しの余波もあって苦戦しましたが、その後は堅調にビジネスを行っています。本格的な秋冬シーズンの立ち上がりとなった8月、やはりフォークロアな打ち出しが主流となっているようです。

 オンワード樫山は、今秋冬シーズンから3つの新ブランドを立ち上げました。中でも"着こなし"という意味で支持されそうなのが25〜30歳のヤングキャリアがターゲットの「スウィート組曲」です。生成りカラーなど、ナチュラルベーシックをべ一スに、カッテイングやディテール、シルエットで女性らしいフェミニンさを演出するブランドに仕上げています。

 既存の好調ブランド「組曲」の質感やグレード感は落とさず、価格を約80〜90%に設定。近年、アパレルの問で叫ばれているグレード感を重視し、「組曲」の高いブランド認知度を活かす戦略を推進していきます。

 ワールドは、クールエレガンス系の「クードシャンス」が依然好調です。ボヘミアン・トレンドの流れから、シャーリングを施したトップスやティアードスカートが売り上げをけん引。スキッパーも根強い支持を集めました。既存店べ一スでは、前年比2ケタ増で推移しています。また秋冬シーズンの立ち上がりも好調で、春夏からの売れ筋が継続。特に有楽町阪急、横浜高島屋などのショップが高い伸び率を示しました。

 三陽商会は、ヤングブランド「フラジール」が期待ブランドに浮上、上半期が前劫比50%増と前シーズンから好調を維持しています。春夏物はボヘミアンテーストが売り上げアップに貢献したほか、アイテム鮮度を維持する政策が奏効したようです。同時にベルトなど雑貨関連も動き、トータルで伸長しているのが「フラジール」の特徴です。下半期は2,3店の新規店や、既存百貨店売り場の拡大を計画しています。

 同社で展開するキャリアブランド「エポカ」も上半期は前期比30%増で推移しているほか、デベロッパーからの出店依頼もあり、新しい販路先が生まれる可能性もあります。秋冬シーズンはニットアイテムにポイントを置き、ハンドメードを意識したフェミニンスタイルを提案しています。

 イトキンは、キャリアブランド「ミッシェルクラン」が好調に売り上げを伸ばしています。ゴールデンウイーク明けの"夏服買い替え需要"にアイテムがマッチし、スキッパータイプのトップスやテーラードジャケットが売れ筋に浮上しました。秋冬シーズンの立ち上がりについても、ジャケットやベストに好感触を得ており、売り上げにつなげていく考えです。

 さらにドレスやオケージョン対応で強みを発揮しているブランド「ホコモモラ」が、堅調な売り上げをキープ。5,6月度の既存店べ一スは前期比2ケタ増で推移しました。コットンオーガンジーのノースリーブドレスに同素材の6分袖ブラウスのセットアップが代表的なヒットアイテムです。

 アパレル各社のトレンド傾向は、おおむねフォークロア継続というものです。既にマーケットではウェスタン、エスニックテーストが台頭していますが、各アパレルの企画を見るとフォークロアとの連動を楽しめる構成になっています。そして素材については、天然素材が引き続き主流になりそうです。コットンを筆頭に、表面感のあるローゲージニット、そして光沢感のあるシルクを混紡した素材が台頭しています。

イ ベ ン ト 情 報

第41回農林水産祭『実りのフェスティバル』

★会場にはジャパンシルクセンターの特設展示販売コーナーが設けられています。

日時11月15目(金)〜17日(日)午前10時〜午後5時まで
   (但し11日は午後3時まで)

場所東京ビッグサイト西展示棟4階 入場料=無料

交通新橋〜国際展示場正門前(ゆりかもめ)、
   りんかい線・国際展示場駅下車徒歩5分、
   東京八重洲口・浜松町駅-東京ビックサイト(都営バス)

主催農林水産省・(財)日本農林漁業振輿会

西陣織を愛する人々その作品展

★主な出品内容:羅金、経錦、綾錦、唐織、御召、朱珍、紹巴、長絹等

日時11月19日(火)〜22日(金)午前10時〜午後7時まで
   (但し22日は午後5時まで)

場所ジャパンシルクセンター東京・有楽町蚕糸会館1階

主催新高機組の会

後援京都府東京経済情報センター、(社)日本絹業協会

2003全日本きものの女王コンテスト全国大会

★全国の15地区から選ばれたきもの姿のよく似合う女性35名による全国大会

日時11月15日(金)

場所東京・八芳園

主催(社)全日本きもの振興会

協賛(社)日本絹業協会他