第50号(平成10年1月15日)

新年のご挨拶 

社団法人日本絹業協会 会長 二瓶博

 蚕糸絹業関係の方々をはじめシルク友の会さらにはシルク愛好者の皆さん、明けましておめでとうございます。平成8生糸年度(平成8年6月〜平成9年5月)でみますと、絹の国内需要量は前年の同じ時期と比べ約15%の減となっているだけでなくシルク製品の輸入も21%減少しています。

 これは景気の低迷や低金利などにより家計にゆとりがなくなったためでしょう。現在平成9生糸年度(平成9年6月〜5月)が進行中ですが、平成9年4月からの消費税の引上げや所得税等の特別減税の廃止、医療費の負担増等により、景気の先行き不透明とあいまって、一段とシルク製品に対する消費の落ち込みが懸念されます。現に全国のデパートの衣料品を含む総売上高は前年の同じ月と比べてマイナス(例えば平成9年11月は百貨店;3.5%減少。スーパー;4.5%減少)を続けています。
 とりわけ生活必需品とは云い難いシルク製品、特に高額商品である和装品については悪影響が大きいのではないかと危慎されます。過般、第21回国際絹業大会(平成9年11月3日〜7日の5日間・タイ国バンコック市で開催)に私も参加してまいりましたが、日本ほど極端ではありませんがヨーロッパやアメリカでもおしなべてシルク製品の消費ははかばかしくないとのことで、これに危機感を抱き、大会ではシルク製品の宣伝活動の強化なり需要喚起の方策についての発言や提案が相次ぎました。(詳細は係員だより」第49号参照)ところで、シルク製品購入に当たっての消費者の選択判断としては、和装・洋装を問わず大別して、
 @粗悪品は別として、並のシルク製品であれば価格の安いものを選択する。
 A高価であってもシルクの魅力が十二分に発揮された特色ある製品であれば他の経費を切りつめても、これを選択する。
 に分かれるといえましょう。Aはいわば“シルク”に「こだわり」を持つないいま「由緒ある商品」に愛着を抱くシルク愛好者層を指すわけです。かねてから農林水産省では「繭・生糸のブランド化」を推進しており、これに呼応して数々の具体的な動きが各地でみられます。(例えば、”あけぼの繭”を使用して織りあげた松岡姫(山形県)、笹繭(埼玉県)や三月民蚕の繭(千葉県)を用いての製品作りなど)本年も蚕糸絹業をめぐる情勢は厳しいとの認識にたってシルク関係者ともどもに創意工夫をこらし「シルクに“こだわり”を持つ真の愛好者」の輪を拡げ、シルク需要の回復の年に成りますよう祈念してやみません。
 (編集者註)笹繭;埼玉県で育成した品種。従来から日本にある品種の系統と熱帯品種の系統をかけ合わせ育成した蚕が作る淡い笹色の繭。糸の風合いに特長が見られます。三眠蚕の繭;蚕は、一般に4回脱皮(眠)して成長し、繭をつくりますが、特別にホルモン処理をして 3回脱皮(眠)成長し、作らせた繭。繭糸の太さ(織度)がこれまでの繭糸に比べて大幅に細いのが特徴です。


第60回グランマルシェ師走を彩る 

社団法人日本絹業協会・ジャパンシルクセンター

 恒例のグランマルシェが去る12月8日〜11日の4日間、丸の内仲通りで開催されました。今回のグランマルシェは、60回という節目の開催で大いに賑わいました。ジャパンシルクセンターでは、店内をリニューアルして初めて迎えるグランマルシェで、顧客の方々にも衣替えした店内の雰囲気に馴れていただき、また、新しい御客様にも親しんでいただくことをモットーに工夫を凝らしてお待ちしていました。

 特に今回は、かねがね多くの方々からご要望の強かった「シルクスーツ」類の拡充や、製品をグループ分けした展示販売方法、事前の各種PRなどに工夫を凝らしました。いつもこの時期は秋から本格的冬への季節の変わり目でお天気は、予報はずれが多く、お客様も当方も気を榛むことが多いシーズンとなりがちです。懸念通り、グランマルシェの初日は雨風が強くお客様のご来場は予想を下回りました。しかし、2日以降はクリスマスや新年のご計画を描いたお客様方が、スーツ類やブラウス、セーター等のアウター物や健康指向を銘打った肌着・靴下類に関心が集まりました。また、各種寝装具類にも中高年の方々を中心に人気を集めていました。
 混雑する店内では、年二回のグランマルシェで逢うお客様同士が「マア、お久し振りネ!!」筆と親しいコミュニケーションの輪を広げ、談笑する姿がそこここに見受けられました。お財布勘定や冷雨強風等と厳しい社会や自然の移り変わりの中で、師走のグランマルシェも色彩鮮やかなシルク製品とシルクご愛好のお客様の歓声とともに盛会裡に「蛍の光」を奏でることができました。


歴史の道『絹の道』 

一日本のシルクロード一その1

八王子ファッション協議会幹事 夏原進

 東京・八王子には、昔から絹に関わる貴重な史跡や資料が多くあります。この中でも八王子から横浜まで『絹』が運ばれた道は、「日本のシルクロード」と呼ばれています。この道は、日本の近代化に大きな役割を果たしたといわれています。現在八王子とその周辺は日本の中でも最も変貌の著しい地域の一つです。この八王子及びその周辺を訪ね「古きを顧みて」現代の人々の暮らしを知る散策をしてみました。

1.絹織物の町から「ファッンョン都市」と変わる八王子の街
 八王子は、武甲相(武蔵・甲州・相模=東京・山梨・神奈川)の国境に源を発する秋川、浅川の清例な流れの水に布を晒した機織りの営みが、数百年の歳月をへて子から孫へと受け継がれ八王子織物、八王子織物産地を形成してきました。かつては絹織物の産地として全国にその名を知られ『桑都』と別称されたこの織物の町も日本の近代化の繁明期の係目の道」から「三大和装産地」をへて21世紀に向けて「ファッション都市」作りを目指して「産業」「くらし」「まちづくり」へと活力ある歩を続けています。八王子は、首都圏の住宅地としてベットタウン化するだけではなく都心部にあった大学.短期大学や高等専門学校が市の内外に散在する学園都市へと変貌し人口も50万人を越える都市へと巨大化しつつあります。

2.八王子宿場から桑都綿市(そうとしまいち)へ

 江戸初期に甲州街道が開発され、八王子は早くから宿場として指定されました。当初は甲州街道防備のため「千人同心」が設置されて軍事的色彩の濃い町でした。しかし、江戸時代の中頃から商品生産の発展に従いしだいに町の性格が変化していきました。この頃八王子では、養蚕.製糸.織物が盛んになり「桑の都」と呼ばれ親しまれました。18世紀の始めの頃大都市江戸は町の経済力が高まり消費経済か発達しました。このようななかで綿の絹織物が流行り好まれました。19世紀に入る頃には、この大消費地の発展により次第に江戸近郊の町や村に定期的な織物市が立つようになり、この市を『縞市』と呼び、八王子では横山宿と八日市宿に別れて開かれ大変な賑わいをみせていました。

3.絹の道と生糸商人の成長へ
 市指定史跡「絹の道」は、幕末から明治にかけて、主に生糸を運んだ交通路として歴史的意義があることが認められ、昭和47年に史跡としての指定を受けています。また、文化庁の「歴史の道・百選」にも選ばれています。
 「絹の道」は、安政6年(1859年)に始まったといわれています。安政6年といえば日本の歴史が約300年続いた徳川幕府から明治に移る重要な年です。この「絹の道」は、八王子に文化、経済、政治を発展させ重要な役割を果たし貴重な文明開化をもたらした道でした。幕末には、高機(たかはた)などの普及で織物の技術が著しく進み、このために八王子綿市では絹織物が高値で取引され、生糸の需要も急激に増えてきました。絹織物の生産にあたっては、養蚕、製糸と機織りの生産地を別々にして効率よくつくることを促しました。生糸を作る村には、糸商人が多数あらわれて市との仲頁に活躍をしました。このようななかで糸の品質や価格の点で資金のある豪商の糸商人が市場競争に打ち勝ち利益を得ました。(以下次号)


イベント情報

新春大奉仕会ジャパンシルクセンター   1月12日〜2月13日
ジャパンシルクセンターでは、人気商品の『Si』(スーチャオ)を特別奉仕価格で提供
対象商品:『S i』(スーチャオ)マークの冬物シルクスーツなどの商品
      通常価格の30〜50%OFFで提供します。
期  間:平成10年1月12日〜2月13日 土・日・祝日休館
場  所:日本絹業協会 ジャパンシルクセンター
     千代田区有楽町1−9−4 03−3215−1212
交  通:JR・有楽町駅下車徒歩3分、
     地下鉄有楽町線・有楽町駅下車徒歩3分、
     地下鉄日比谷線・千代田線・都営三田線・日比谷駅下車徒歩5分
     地下鉄丸ノ内線・銀座駅下車 徒歩5分、

繭産地ブランドシルク展示会

期  間:平成10年2月24日(火)〜2月27日(金)士・日・祝日休館(入り無料)
展示内容:繭産地が誇る各地の地域色を出したシルク製品の数々
場  所:ジャパンシルクセンター
交  通:交通は上記参照

東北農政局の展示会

期  間:平成10年2月28(月)〜2月27日(金)土・日・祝日休館(入場無料)
     午前9時-午後5時(入館は4時までに願います)
展示内容:東北各地の繭産地が誇る地域色を出したシルク製品の数々
場  所:東北農政局『消費者展示コーナー』 仙台市青葉区本町3−3−1
お問い合わせ先: 022−263−1111(内線4217)蚕糸園芸課蚕糸係

ハイブリッド絹展 '98−いまシルクがとても新しい−

期  間:平成10年2月24日(火)・・・・・・・13:00-17:00
          2月25日(水)〜26日(木)10:00-17:00
展示内容:最新のシルクハイブリッドの成果及び研究成果の数々
場  所:蚕糸会館6階特設会場(ジャパンシルクセンターに同じ)(入場無料)
     お問い合わせ先 03−3364−0469藤田まで
主  催:シルク開発センター
協  力:農畜産業振興事業団、蚕糸・昆虫農業技術研究所、蚕糸科学研究所ほか
後  援:農林水産省、日本絹人織織物工業会、東京婦人子供服工業組合