第52号(平成10年3月15日)

『絵染め』の楽しみ

日本絵染め協会 主宰 菊地エミ

自分だけの境地があるのはいいものだ
 この頃、巷では趣味の教養講座が豊富に展開され、さまざまな楽しみに溢れています。でも考えてみますと、色々と趣味の教室が沢山ありすぎて、宣伝・案内のパンフレットなどを見ますと何でも興味深く、かえって一つに絞るのが難しいようです。選択肢が多いのは賢沢で素敵な反面、あれこれ考えたり試しているうちに時が過ぎ、一つの道に打ち込みすぎて本当の楽しみを味わう機会を逸してしまいます。何かに打ち込みながら私に与えられた時間の中で、その期間がどれほどにあるのかは誰にも予測出来ないものですが、それだけに自分だけの境地があるのは本当にいいものだと最近になって痛いほど強く感じています。

母のりハビリから始まった『絵染め』
 前置きが長くなりましたが、たまたま私は緑あってアメリカの美術大学に留学する機会を得て、染織を専門に就学し、運よく美術教育の修士号をいただき帰国しました。ちょうどその前後の頃から、母がリュウマチで手足や腰などがこわばり、時に激痛を訴えるようになりました。母を看護中の姉が、その苦しみを少しでも和らげるために、手足の運動と痛みから気をそらす役目に淡い期待を寄せて、洋裁と絵に関心のある母と一緒になって簡単な絵を描き、色を染める楽しみを一種の軽運動として取り入れたのが始まりであると思います。
 これでお分かりのように、日常生活の中からとある事情によって生まれた、それが心身を癒し僅かながら豊かな毎日を送るよすがにもなっているのが私たちの『絵染め』なのです。この頃に、書くだけで染まるというべんりな染料が入手できたのも幸いでした。

絹の布で一層、輝きを増す『絵染め』
 私たちは今この『絵染め』を絹の布に描いています。なぜ絹の布を用いるのか?
 それは皆様御存じのように、絹は独特の真珠色に輝く光沢があり、筆のタッチもとても滑らかで、その上どのような色にも染まりやすく美しい彩色を放ってくれるからです。また出来上がった作品を壁に飾ったり、あるいは洋服やきものに仕立てても優雅でリッチ感溢れる作品に出来上ってくれるからです。とはいえ絹地の上に『絵染め』する時は気持ちが引き締まります。色も図案も真剣に挑戦することとなるので、今回はどんな風に仕上がるのかなと、その度に緊張とスリル満天を味わっています。それだけに作品を鑑賞される時には、長い時間をかけて育んだものの愛おしさを感じていただければと思っています。

入門しやすい『絵染め』の技術
 実際の『絵染め』のやり方は、鉛筆で絹の布にうっすら下絵をうつして、それに色を塗るだけです。力も要らないし、肩もこりません。というわけで『絵染め』の原点は鉛筆と小さな軽い筆だけなのです。絵の具を扱っていると色彩の勉強にもなり、オシャレ上手にもなります。試みにTシャツやシルクのポーチ、ミニ・クッンョンといった身の回りの布材料を染めあげて楽しんで見ませんか。和風や洋風の図柄も沢山用意してありますし、水で薄めるだけで乾けば洗濯もオッケーという便利な絵の具(IS色入りでケーキ付コーヒー代並の価格)を使い、この他には鉛筆と水彩絵筆、水入れ、パレットがあれば十分です。
 近日中に東京有楽町のジャパンシルクセンターにおいて、会員の作品展を催す計画があります。絵心を通じて『絹』のお友達の輪を広げ、心豊かな生活の一助となればと思っております。皆さんとお逢い出来る日を楽しみにしています。

 ※作品展示会等は後日「絹だより」誌上でご案内します。 編集者より


七五三は和服でが定着か

平成9年度「七五三調査結果より」

学校法人清水学園専門学校 財団法人日本きもの文化協会

学長 清水とき

1.調査日・調査対象
 学校法人清水学園専門学校及び財団法人日本きもの文化協会では、「七五三服装調査」を毎年11月に実施しています。
 平成9年度は10月下旬〜11月中旬に全国33カ所(別表1)の神社・寺において29,700名の子供とその付添家族49,000名について調査を行いました。
 その結果は別表2のとおりですが子供や付添の親の服装が、年々の経済や社会情勢を反映している事から私共の社会勉強のために毎年実施しています。併せて、その結果を毎年、服装に関連する業界とマスコミに発表しております。

2.「七五三詣り」は分散型
 七五三詣りは本来11月IS日に行われるものですがここ数年間の傾向を見ますと、10月後半の週から11月15日の日にかけて長期間に、それぞれの家庭の事情によりお詣りする分散型になってきています。

3.「七五三詣り」は和装が主体
 女児の和装の割合は、全国平均で7才児が81%、S才児が63%、3才児が83%となっていて洋装を圧倒しています。地区別では、東北、関東、中部・東海地区が平均よりも高い比率を見せています。全国平均で前年より比率が下がっているのは、北陸地区、山陰地区ですが、これらの地区は、他に比べて「七五三」の風習が余り盛んでない事によるものと考えます。

4.母親の和装着用は21%
 付添人の服装については別表2のとおり男性はそのほとんどが洋装でしたが、女性(母親・祖母)の和装は全体の約21%が和装でした。女性の和装の中の種類を見ると付下げが最も多く次いで色無地、小紋、訪問着の順でした。

5.本年度の特徴
(1)和装を種類別で見ると、7才女児は振袖、5才男児は紋付・羽織・袴、3才女児は被布・振袖が定着化しています。
(2)七五三衣装のお揃いセットの購入や貸衣裳が増え、色柄の画一化が進んだ事です。

 

 表一1 調査対象の神社・仏閣
地区名 神社・仏閣名
東北 善知鳥神社(青森)、天童護国神社(山形)、 釜神社(宮城)、福島稲荷神社(福島)
関東 筑波山神社(茨城)、足利鍵阿寺(栃木)、桐正夫満目(群馬)、大宮氷川神社(埼玉)、川崎大師(神奈川)、身代り不動尊(神奈川)
東京 明治神宮、神田明神
甲信越 松本四柱神社(長野)、武田神社(山梨)
中部・東海 伊奈波神社・子守神社(岐阜)、熱田神宮・三河砥鹿神社(愛知)、浜松五社神社(静岡)
関西・山陰 多賀神社(滋賀)、生田神社(兵庫)、天満宮(大阪)、米子勝田神社(鳥取)
北陸(石川) 穴水神社・白山神社
四国・九州・沖縄 松山護国神社(愛媛)、箱崎宮・櫛田神社・護国目(福岡)、藤岬神社・加藤神社・健車神社(熊本)、那覇波上神社(沖縄)

 表一2 調査対象の地区別、年齢別調査結果
項目

7才児

 

5才児

 

3才児

 

付添男性

 

付添女性

 
 

和装

洋装

和装

洋装

和装

洋装

和装

洋装

和装

洋装

東北

88.0

12.0

63.0

37.0

89.0

11.0

0.0

1OO

12.0

88.0

関東

86.0

14.0

63.0

37.0

88.0

12.0

0.0

100

11.0

89.0

東京

80.0

20.0

59.0

41.0

60.0

40.0

0.1

99.9

32.0

68.0

甲信越

92.0

8.0

81.0

19.0

80.0

20.0

0.0

100

30.0

70.0

中部・東海

83.0

17.0

63.0

37.0

91.0

9.0

0.1

99.9

20.0

80.0

関西・山陰

67.0

33.0

71.0

29.0

75.0

25.0

0.0

100

22.0

78.0

北陸(石川)

70.0

30.0

40.0

60.0

60.0

40.0

0.1

99.9

20.0

80.0

四国・九州
沖縄

80.0

20.0

60.0

40.0

80.0

20.0

0.1

99.9

20.0

80.0

計(平均)

81.2

18.8

63.0

37.0

82.8

17.2

0.2

99.8

20.5

79.5

前年(平均)

88.9

11.1

69.8

30.2

86.5

13.5

0.1

99.9

24.9

75.1


東北農政局の「消費者展示コーナー」で

   『広がるシルクの用途展』を開催  

東北農政局生産流通部蚕糸園芸課蚕糸係

 東北農政局では、2月2日〜2月27日の1か月間、同局内の「消費者展示コーナー」 においてシルクの素晴らしさや最近の蚕糸関係の情報を知っていただくために『広がるシルクの用途』をテーマにシルク関係の展示を行いました。
 この展示には管内各県をはじめ、全養連、社団法人日本絹業協会にご協力をいただき、蚕から織物が出来るまでのパネルの他、地域で取り組んでいるシルク製品などが出展されました。
 岩手県からの出展は、東山町の天蚕糸入りの和紙帯とJA種市で作られているシルクタイツ、シルクストッキング、夫蚕を紹介するパンフレットなどでした。
 宮城県からの出展は、ネットロウシルクを使った試作品のポロシャツ、ブレザー、マフラーのほかシルク和紙製品や繭細工でした。
 山形県からの出展は、絹シート及び絹シート活用製品のほか「蚕から織物が出来るまで」「絹シートの概要」のパネル、繭玉(琉球多産蚕)でした。福島県からの出展は、天蚕、生繰りなどの様々な生糸のサンプルのほか、4品種(春嶺×鐘月、錦秋×鐘和、しんあけぼの、小石丸)の繭玉、「蚕から生糸まで」を見られる模型、シルクの化粧品、桑炭等の桑関連製品でした。
 北国の寒気厳しいシーズンの展示会となりましたが、それでも多くの見学者とその方々のシルクへの関心の高さは予想外のほどでした。
 消費者の方々のご要望をより組み込んで、今後もこのような展示会を一層充実した形で実施が出来ればと考えております。


イベント情報

春の大感謝セール

 日頃のご愛顧にお答えして、センターに納入のメーカー各社の協賛により、シルクや色々な製品を特別の価格で販売を致します。

・期  間 平成10年3月18日(水)10時-17時 ・19日(木)10時-16時
・場  所 蚕糸会館6階特設会場
・主  催 ジャパンシルクセンター 03‐3215‐1212
・交  通 JR・有楽町駅 地下鉄・日比谷駅・有楽町駅