第55号(平成10年1月15日)

平 成 9 年 『 絹 の 需 給 』 

平成 9年の絹の需給(生糸換算試算)が、農林水産省からこのぼど発表されました。

1.生糸・絹製品等の供給

1. 生糸についてみると、国内生産は、国産繭の引き続く減産(平成 9年産:2,517トン、 前年比17%減 )と海外からの輸入繭量も計画量を大幅に下回ったことから、生糸生産量は前年に比べ26%減の32千俵(1俵=60kg)となりました。
2. 輸入についてみますと生糸、絹糸、絹織物および絹二次製品の合計は、平成 6年以来30万俵台を保っていましたが、平成 9年は23万 7千俵(前年比29%減 )と大幅に減少しました。このうち、生糸は20%減の 3万 5千俵、絹糸は29%減の 3万 5千俵、絹織物は31%減の 4万 3千俵、絹二次製品は31%減の12万 4千俵といずれも前年に比べて大幅に減少しています。特に加工度の高い物品ほど減少の幅が大きいことなどが注目されます。
3. この結果、年初の在庫量を加えた 9年の総供給量は 6年以降続いた50万俵台を大幅に下回って前年比22%減の40万 2千俵となりました。

2.生糸・絹製品の需要

1. 総供給量から 9年末の在庫量を差し引いた総需要量は、このところ毎年続いていた30 万俵台を大きく下回り、前年比29%減の27万14千俵となりました。
2. このうち、輸出は絹織物がわずかに前年を上回ったことから、 1万 4千俵(前年比 6 %増)と最近では多い数量となりました。
3. 総需要量から輸出量を差し引いた国内需要量も25万 7千俵と前年より31%減の低位に留まりました。

絹需給表(生糸換算試算)                          単位:千表
供給計1 初在庫 生産 輸入計 生糸 絹糸 織物 二次 需要計2=1−4 輸出計3 生糸 絹糸 織物 二次 内需2-3 末在庫4
525 138 65 322 26 37 64 195 390 11

-

0 7 3 379 135
7 518 135 54 329 33 31 61 204 380 11 0 1 8 2 369 138
8 516 138 43 335 44 49 62 180 383 13 0 0 9 4 370 133
9 402 133 32 237 35 35 43 124 271 14 0 0 11 3 257 131
前年対比 78% 96% 74% 71% 80% 71% 69% 69% 71% 106% 12% 87% 122% 75% 69% 98%

 資料:製糸統計月報(生糸需給状況)、繊維統計月報及び日本貿易月表による。

3.平成 9年の生糸・絹製品をめぐる環境

 平成 9年は前年に引き続く低金利に加えて年度当初の 4月から消費税が引き上げられ、 9 月からは医療負担額の引上げと続き、更に秋以降金融機関の破綻や企業の倒産、失業率の増 加など不況の風が1年を通じて日本全国を覆い、消費者は先行き見通しの不安から、財布の紐が堅くなりました。この結果、百貨店やスーパーマーケットなどの小売店の売上げは、年間を通じて前年同期を下回り、特に衣料品は気候の不順もあってかなり売上不振の打撃を受けました。
 こうした中で絹製品についてみますと、高級品に属するきものなどの和装品は深刻の度を高めています。伸長の道をたどりつつあった洋装品も進度0からマイナスへの経過となりました。なお、毎年増加傾向にあった絹製品の輸入は為替の円安傾向も減少に反映したものと 思われます。
 しかしながら、昨今の消費者は一時のバブル期にあった衝動買いとも思われる購買行動から目覚め、自分の個性に合った品質の優れた適正な価格の品物を選択して購入する姿勢が高まってきており、潜在的に根強い需要に支えられている絹製品はこの線に沿って愛好者の輪を拡げつつ買い求められて行くものと見通しを持っています。


微 生 物 か ら 青 紫 色 素

農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所

 衣料用の染色剤としては、化学技術の進歩に伴って合成色素が主流をなしているが、天然 色素も穏やかな風合いに染まることから依然として人気が高い。しかし、紫系の天然色素は昔から少なく、強い憧れがあった。天然色素としては、アクキガイ(悪鬼貝)から採取される貝紫が有名だが、極めて高価で大量生産もできないのが現状である。

微生物から生まれる色素 

 今回、青く染色した絹糸から、培地上で大量の青紫色素を生産する細菌ジャンシノバクテリウム・リビダム(Janthinobacterium lividum )が分離された。この色素は絹をはじめ多くの繊維を染めることができる。
 この研究は、繭の仕事をしている小島篤氏(葉 屋サイエンス・ファーム)が、放置していた絹屑 糸の変色に気付いたことから始まったものである。蚕糸・昆虫農業技術研究所でその原因を調べた結 果、青変は微生物の生産する色素によることが明らかにされた。その後、両者で共同研究が行われ、微生物はJ.lividum であること、色素の主成分はビオラセインであることが確かめられた。また、色素の生産・抽出・染色条件が調べられ、最適条件が確立された。
  分離細菌をアミノ酸を含んだ培地で一週間培養後、80%メタノールで抽出すると、その液がそのまま染色剤となる。あるいは、培地に水を加えて煮沸染色すると、数分という短時間で染色が完了する。これらの染色法は極めて簡単なだけでなく、素人でもきれいに仕上がるという特徴をもつ。

良く染まる繊維は? 

 色調は、染色液中に含まれ色素の量によって、 淡い空色から藤色、青紫色そして濃い青紫色に染め分けることができる。染色性は、繊維の種類によって異なり、ナイロンがもっとも染まりやすく次いでアセテート、ビニロン、生糸、綿、羊毛であり、レーヨンはわずかに染まりアクリルとポリエステルはほとんど染 色されない。

染色堅牢度を高める工夫も 

 染色堅牢度は、草木染め程度であり、太陽光線による褪色性が実用化のネックになっている。今後、媒染剤の利用などによって堅牢度を高めることが必要である。最近、チオ尿素処理により耐光性が向上することが判明し、特許が出願された。

多方面での応用も可能

 応用面を考えてみると、安全性が確かめられれば化粧品や食品方面での利用などが考えら れている。また、本色素ビオラセインは、抗菌性も有することから、手術着などの医療面での利用も可能である。


シ ル ク 情 報 が イ ン タ ー ネ ッ ト で 見 ら れ ま す

  社団法人日本絹業協会で、情報化社会に対応してインターネット上にホームページを開設しているのを御存じでしょうか。
 本会では、かねてより各種のシルク情報の収集や本紙の発行などの情報の発信等々を行っておりました。ことに新聞情報や本会発行のパンフレットの一部については、以前よりコンピューターを使って情報の整備を行ってきました。これらの情報を一般の方々により簡便に利用していただくためにインターネット上にホームページを開設しております。
 今後もシルクの最新情報を掲載していく方針です。多数のご利用をお待ちしています。

アドレス http://ns1.silk−center.or.jp

なお、シルク関係の情報関連のホームページを開設している関係機関を以下紹介します。

農林水産省・・・・・・・・・http://www.maff.go.jp

通商産業省・・・・・・・・・http://www.miti.go.jp

蚕糸・昆虫農業技術研究所・・http://ss.nises.affrc.go.jp

蚕糸科学研究所・・・・・・・http://www.silk.or.jp

横浜シルク博物館・・・・・ http://www.sphere.ad.jp/Kanagawa/museum/ki-bijyutu/011.htm/

(財)京都和装産業振興財団・・・・http://web.kyoto-inet.or.jp/org/wasou/

京都織物卸商業組合・・・・・ http://www.joho-kyoto.or.jp/~koms1/


イ ベ ン ト 情 報

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