第56・57 合併号(平成10年 8月15日)

絹 の 機 能 性 と そ の 応 用

東京農工大学 名誉教授 平林 潔

 昔から洋の東西を問わず絹は、繊維の女王として君臨し、女性にとっては憧れの的であった。西洋のドレス、中国のチーパオ、印度のサリー、朝鮮のチマチョゴリ、日本の和服などいずれも絹を素材として女性の心をとらえ、子孫に伝えてきている。
 ところが、この絹の製造には人件費が大半を占めるために、その労賃が安い国でなければやって行けないという現実がある。事実、日本の蚕糸業も自由化の波にさらされた結果、生糸価格も半値になり、人件費を下げるわけにも行かず、壊滅的打撃を被り、ほとんどなくなってしまった。その上、追討ちをかけてきたのが、シルキ合繊の出現である。ポリエステルを主流とするそれは、絹の何百分の一、いや何千分の一という細繊維を作り出すことに成功し、絹以上の繊維と言われるに至った。このシルキ合繊を使った和服は、絹の何十分の一という安い値段で出来る上、汚れても洗濯すれば落ちる、黄褐変しない、長持ちするとなれば何をか言わんやである。
 しかし、ポリエステルには絹に比べ、吸水率が 0.5%と絹の10%には遠く及ばない。絹には様々な大きさの空隙があるが、ポリエステルにはない。したがって、肌になじみ易いしっとりした感覚に欠ける。故に肌着には向かない。絹の持つ空隙のため、染色性、保温性、吸 湿性に優れている上に静電性をも有している。負に帯電するため抗菌性もある。したがってまだ外衣・内衣とも高級衣料品は絹である。
 これから述べようとする絹粉末も繭、生糸など絹衣料の原料となるものを対象とするのではなく、衣料として使えない生糸を取った残りの繭、織物を織ったときに出る残糸を有効に利用しようとするもので、絹の主役は衣服であるということには変わりない。

絹粉末

本来、繭は生糸を造るためにある。これを粉末にすることは、話の外である。したがって、原料は生糸に出来ない繭、織物の残り糸である。要は絹の機能性に着目しこれを利用することを考えるわけである。
周知のように絹繊維、正確には繭糸には 2本のフィブロインフィラメントをセリシンが取り囲んで出来ている。量的には前者が70%〜80%、後者が20%〜30%である。腹の中にあるフィブロイン分子はランダムな構造をしているが、一旦押し出され、細い吐糸管を通るとフィブロイン分子は並列・集結し繊維となる。フィブロイン、セリシンとも粉末として利用することが出来る。それには、フィブロインを覆っているセリシンを分解する。最終的には衣料としての絹はセリシンを除去するが、これを精練といっている。沸騰した0.5 %炭酸ナトリウム溶液で30分位処理すると、ほとんどセリシンは除去される。セリシンを利用するにはこの方法だと薬剤が混入するため使えない。薬 剤を用いることなく取り出すには圧力釜に入れて精練する。これを乾固し、粉細すると、セリ シンのみの粉末が出来る。
 フィブロイン、すなわち絹繊維の場合はセリシンの粉末ほど簡単ではない。機械的に摩砕するにも、相当の抵抗を受けるため容易でない。そのためまず繊維を劣化させたのち摩砕する。劣化には酸かアルカリ溶液中で処理すると結晶領域がおかされる。時間が長いと流失量が増すので、硫酸であれば1.4N(規定)100 ℃ 2時間位の処理が強度の減少も少なく、結晶領域に富む粉末が得られる。   −図1
 酸で処理した後は、アルカリで中和し、水洗 ・乾燥する。この絹粉末は人工皮膚に混入する と、しっとりとした感じが出てくる。絹粉末が水分を吸湿・放湿するからである。この絹粉末は絹プラスチックにも応用が期待されている。 絹溶液から粉末を作るには次のようにする。塩化カルシウムと水を重量で半々位にした溶液をビーカーに入れ沸騰させる。この溶液 100g 当たり、 5〜10g 絹が溶ける。エタノールを入れれば溶解が促進される。水より小さい界面張力のため、繊維内部への塩化カルシウムの浸透を容易にするからである。冷えた溶液を透析膜に入れ流水中で 2日位さらす。こうすると絹溶液ができる。濃度を上げるには、透析膜をつるし送風機で風を送ると、膜を通して水分が蒸発し濃くなる。この水溶液をポリエチレン膜に流すと絹フィルムができる。無色透明な膜である。
 ゲル化はフィブロイン分子が運動している他のフィブロイン分子と接触するとき水素結合を作る。このように鎖間で架橋が形成されると、ゲルになる。図2に示すように早くゲル化するには、水素イオン濃度を3.8 (絹の等電点)くらいに下げるか、セリシンを添加する。
 ゲル化するまえに溶液中にフレイバて適当な味付けをすれば、絹ゼリーが出来る。硬さは濃度を上げると増す。
 粉末化は無添加のゲルを凍結乾燥する。微細( 5ミクロン以下)な粉末が得られる。
 絹溶液をそのままスプレードライ法で粉末にすると、これは水に溶ける。分子鎖がランダムのまま乾固するためである。その分子量は数万のオーダーである。本来、フィブロインの分子量は35万といわれる。沸騰した塩化カルシウムで 2時間も処理すると、分子量は 1万前後に落ちる。絹分子は結晶部分と非結晶部分とが交互に結合している。十分に分子鎖どうしが並列に結合していないと、水に溶けてしまう。不溶性の絹粉末を作るには、液中のフィブロインを結合させればよいので、撹拌すると、不溶性の絹は折出してくる。これを集めて乾燥し摩砕すると微細な粉末になる。
 もう一つの方法は、適当な酵素を用いて、結晶鎖と非晶鎖の結び目を切断してやる。こうすると結晶鎖は沈殿し、非晶鎖は溶液中に残る。それぞれを乾固して粉末にする。これらは化粧品の重要な素材となる。
 酸加水分解法によりアミノサンまで分解する方法については次回にまわす。


ま だ ま だ い け る 日 本 の 蚕 糸 業

ブランドシルク『いろどり』を利用した商品作りをとおして

エヌ・エスシルク株式会社 代表取締役 西 重義

 埼玉県では、県のキャッチフレーズ「彩の国さいたま」にちなんで名付けられた『いろどり』という繭を利用した独自のブランドの絹製品作りが行われています。
 『いろどり』は、繭の色がグリーン(笹色)をしていて、糸の太さが単糸で2.6 デニールです。 3年前には、国から新品種として指定を受け、同年から秩父の農家で飼育されています。現在の産繭量は、4トンで約12俵の生糸が生産され流通しています。

<特徴その1> 細い

 『いろどり』は、単糸で2.6 デニールという 細さなので、中細で21デニールの生糸を造る場合には 8粒付けで普通の白繭糸より 1個だけ粒付けが多くなっています。このことからも分かりますように普通糸よりも細いことです。

<特徴その2>

 繰糸後の精練で、セリシンの第 3層とセリシンの第 4層が溶解しにくいので、それに乗っている緑の色素のために生糸は、グリーン色を呈しています。

<特徴その3>

 この生糸を使用して白生地を製織した場合に、セリシンの残存効果と粒数の関係から、次のような特徴があるものと考えられています。

『いろどり』を利用して作られたブラウス

1.生地にシャリ感があり、腰が強い。
2.セリシンが残存しているためにスレに強い。      
3.染色性がよくより鮮やかな色に染まる。
4.サラサラしているので春・夏の衣料に適している。

<製品作りの方向>

 現在、埼玉県では、この『いろどり』繭に対して、普通の繭取引価格に1kg当たり 100 円を上乗せして農家に支払っています。
また、生糸製造の段階では、27デニール用の感知器を21用に取り替える手間や27デニールと比較して効率が極端に落ちることなどから生糸の取引価格は、1kg当たり11,500円と通常の繭の市価より3倍近く割高となっています。このために、商品開発の範囲は高級婦人服や高級和装品などに限定されています。

<製品作りの一例>

 当社では、平成10年度のシルクブランド化事業に参画して、スーツ、ワンピース、ブラウスの商品化を進めました。
 試作品作りといっても、ある程度の製品を造り実際に消費者に販売して、その市場性の反応を見てみました。
 製品作りでは、試作ということから生地の製織、染色加工、縫製段階で最小のロットで行う必要性があったために、例えば、製織反数で10反、染色加工で 5反以上、縫製枚数では 1パターンで 100枚が必要になりました。そして、それに相当する生糸が必要となります。
 当社では、平成10年度に20匁フラットクレープ(シルクデシン)を丹後の機屋で製織し、スーツ、ワンピース、ブラウスの製造を行いました。
 参考までに 1kg当たり11,500円の生糸を使用して前記のクレープを織ると 1m(112cm 幅)の原価は、2,600 円となり、現在流通している中国産シルク生地の1,200 円〜1,400 円に比較して約 2倍の価格となってしまいます。
 この白生地をプリント加工( 1m 約 900円のプリント料)して製品に仕上げるために製造に要する原価は、スーツ(用尺 4m )で34,500円、ワンピース(用尺 3.7m )で19,500円、ブラウス(用尺 2m )で12,500円位となります。ちなみに、中国製や韓国製のシルク製品の上代価格(消費者に販売する価格)は、スーツで39,000円〜58,000円位、ブラウスでは 1万円代が中心です。

<製品の流通>

 通常、製造された絹製品は、製造原価の 2.5倍から 3倍が上代価格として設定され流通しますが、当社の場合製造原価の 2倍を上代価格として、埼玉県内の百貨店や都内の百貨店・ホテル等での試験販売を行ってみました。
 この場合、スーツの上代価格は69,000円、ワンピース39,000円、ブラウス25,000円となっていて売行きは好調です。しかし、流通段階を多くすればこのような価格の設定では、販売が困難となるでしょう。

<今後の課題>

 この『いろどり』を使った商品開発では、消費者のターゲットを明確にして行うほうがより購買力が発揮出来るのでないかと考えます。例えば、40〜60才代を対象に色、柄、デザインを最大のポイントに置くことにより気に入られれば相当の購買力が期待できる階層ではないでしょうか。また、販売の現場では外国製の割安感の商品ばかりに力を入れずに、商品の価格帯を 2極分化して、国産の高級品も数多く品揃えをすることにより、幅広い客層の獲得につながるものと考えます。より多くの消費者に『いろどり』の製品を愛用してもらうことにより、現在の繭の生産量4トンを10トンへと高めることも可能となるのではないでしょうか。
  現在、『いろどり』の生糸を活用した商品作りは、当社のような高級婦人服のほか和装製品産地の京都において袋帯や能衣装などが見られます。
 今後この『いろどり』の一層の利用の拡大を図るためには、この生糸の有効性や活用方法の提案などを多くのアパレル業の皆さんに知っていただくためのPRを推進しなければならないと感じています。
 また、繭の生産面においても系列取引など業界の系列化を進め、農家が安心して繭の生産が出来るようにしなければならないでしょう。「10万円の絹スーツ」から逆算して繭代が算 出されるならば農家も繭作りを捨てないでしょう。『回転蔟から次々にグリーンの繭が収繭される時の喜びはこたえられない』と秩父の農家の人々が話してくれました。この時私は、「日本の蚕糸業はまだまだいける」と感じました。


祇 園 祭 と ゆ か た

今どきの「ゆかた事情」

京都織物卸商業組合 主任 徳平圭子

 コンチキチンの音色が京都の街中に響き始めると、そわそわし出します。
 思えば、私もそうでした。シャリ感のあるゆかたに真っ赤な兵児帯を結んでもらい、それをまるで金魚の尾っぽのように揺らしながら街中を掛けまわっていました。近所のお姉さんもこの日ばかりは白地や紺地の涼しげなゆかたに身を包み、シャナリと歩く姿がとても美しく見え、大人のゆかたに憧れ自分も何時かはと、大人になったときのゆかたを来た姿を想像して、楽しい気持ちになったものでした。
 ところで、最近のゆかたとそれを取り巻く環境は随分と変わり、以前とはかなり様子を異に呈してきています。

若者のファッションアイテム「ゆかた」

'98京ゆかたコレクションより1

 平成 3年頃から十代〜二十代の若い女性の間でゆかたブームがおきました。それまでのゆかたのイメージからは想像もつかないショッキングピンクやイエローなどの原色が登場し、さながらファッショングラビアから抜け出たような洋装感覚のゆかたが、もてはやされました。しかし、これは若い女性が和装に興味を持ったのではなく「ゆかた」自身が和装から脱却して、若者のファッションアイテムの一部として独自の道を歩み始める第一歩となったのではないでしょうか。
 今日の「ゆかた」が目指すものは、「限りなく洋装に近い和装」です。
 染色技法もそれまでの伝統的な注染から多色使いを可能にし、しかもコストの低減となるスクリーン捺染が主流となっています。また、生地の素材も定番の綿 100%からポリエステル、テンセルなどの化合繊を使って風合いにバリエーションを持たせるようになってきています。販売の方法も従来の反物売りから仕立上がり(プレタ)にと移っています。洋服と同じようにハンガーに掛けて店頭に並べることで、お客が容易に目当てのゆかたが選べるようにしたのです。また、プレタ化されたことにより帯や小物などのコーディネートが簡単になり、商品セレクトの範囲が広がって、よりファッション商品としてのエリアに近づきました。
 このように消費者の選択の幅が広がり、ゆかたがファッション商品の分野に入ったことでの大きな変化は、ゆかたを造り販売する企業が毎年、競って個性化・差別化を図るために次々と目新しさを追及していることです。

'98京ゆかたコレクションより2

変わる小物類

 ゆかたをめぐる商品の中で変化が顕著に現れたのは、小物類でした。現在ほとんどのゆかたは、帯・下駄・巾着のトータルコーディネートのセットで販売されています。下駄はサンダルやハイヒールを意識したかかとの高いものが見られます。巾着は布製バッグやトレンドを意識したナイロンバッグなど洋服に合うアイテム提案で、消費者に親しみやすさを与えています。
  昨今ではゆかたもブームから定着の域に達して、毎年夏になるとファッション雑誌が必ず「ゆかた」の特集を組んでいます。「ゆかたに似合うヘアスタイル」とか「ゆかたに合うアクセサリー」などの記事を掲載して、夏に欠かせない必須アイテムとして若者にアピールしています。
 今年の流行りはここに来て、ブーム初期の頃の派手な地色は少なくなり、ゆかた本来の機能である「清涼感」を感じる地色(紺地・白地)に再び人気が集まってきているようです。柄は草花調、衝動物柄など従来のものが多く見られますが、パリコレで人気を呼んだ昆虫柄を和装のテイストにアレンジするなど、ワールドワイドな視野での開発が行われているようになりました。
 さて、今年の祇園祭も例年どおり沢山のゆかた姿の女性で賑いました。流行の透ける素材のゆかたを着て、ケータイを帯にはさみ、キティゃんのプラスチック団扇を持って歩きづらそうに下駄を引っ掛けて歩く。
 私は少し考えてしまいます。
 最近の子供はこの姿に憧れて大人を夢見るものなどろうか、と。


イ ベ ン ト 情 報

’9 8 シ ル ク フ ェ ア

’本年も松坂屋上野店をメイン会場として、東京都及び千葉、埼玉、神奈川、山梨、茨城、静岡の主要百貨店で『’98シルクフェア』が 9月 8日〜10月13日までの期間で開催されます。

今年のテーマは「優しさはシルクです『’98シルクフェア』」。

主 催 関東百貨店協会

協 賛 日本絹業協会 日本絹人繊織物工業会

後 援 農林水産省 通商産業省 農畜産業振興事業団 繊維産業構造改善事業協会

松坂屋上野店のスケジュールと催物

日 時:9月17日(木)〜9月22日(木)

会 場:松坂屋上野店 7階催事場 地下鉄「上野広小路」駅下車 入場無料

イベント:・繭玉からの絹糸紡ぎ・繭玉アート・織物作りなどの各種実演

     ・絹に関する各種パネルの展示

     ・婦人衣料を中心とした絹製品の展示販売


主要会場と開催期間
伊勢丹 高島屋 近鉄百貨店
新宿店 9/24-10/ 7 東京店 9/17-/30 東京店 9/23-10/13
立川店 9/24-10/ 7 東 急 サイカ屋
吉祥寺店 9/24-10/ 7 本 店 9/ 9-/21 川崎店 9/19-/29
松戸店 9/24-10/ 7 吉祥寺店 9/11-/23 藤沢店 9/17-10/13
浦和店 9/24-10/ 7 東横店 9/11-/23 横須賀店 9/17-/29
相模原店 9/24-10/ 7 日本橋店 9/11-/23 岡 島
府中店 9/24-10/ 7 町田店 9/10-/22 甲府店 9/10-/16
小田急百貨店 松 屋 新千葉そごう
新宿店 9/15-/28 銀座店 9/15-/22 千葉店 9/15-/21
町田店 9/15-/29 阪急百貨店 水戸京成
京王百貨店 大井町店 9/16-/29 水戸店 10/1-/ 7
新宿店 9/15-/24 プランタン 銀座 松 菱
聖蹟桜ケ丘店 9/17-/23 有楽町店 10/ 1-/13 浜松店 9/17-/22
東武百貨店 松坂屋
池袋店 10/ 1-/13 上野店 9/17-/22
西武百貨店 三 越
池袋店 9/16-/29 本店 9/ 8-/13
有楽町店 9/16-/29 新宿店 9/ 8-/13
渋谷店 9/16-/29 池袋店 9/ 8-/13
そごう 銀座店 9/ 8-/13
東京店 9/ 8 /21 横浜店 9/ 8-/13
大 丸 千葉三越
東京店 9/17 /29 千葉店 9/ 8-/13


’9 8 シ ル ク フ ェ ア イ ン 池 袋

期 間:9月22日(火)〜9月24(木)

開業時間 10時〜16時

会 場:山の手ビル 8階会場

豊島区西池袋 1−29− 1

主 催:日本シルクニット協会

協 賛:社団法人日本絹業協会

協 力:有限会社恵和企画

これからのシーズンに最適のシルク製品……シルク製ニット・ブラウス等上衣類、肌着類、スカーフ、ソックス類、寝装品、草木染等の他、福井県絹織物工業協同組合によるシルク生地を特別出品します。


お知らせ 人事

新任 専務理事 西 文秀

退任 前専務理事 上田荘三

就任ご挨拶 専務理事 西 文秀

去る、 6月25日の本会通常総会におきまして専務理事に選任され就任いたしました。
 近年の蚕糸・絹業を取り巻く状況は、養蚕農家や繭生産が大きく減少するなど大変厳しい状況にあります。特に最近は、消費税の引上げ前の駆け込み需要の反動減や金融機関の破綻により消費者に生活と雇用の不安をもたらし、消費が低迷して推移するなど国内の経済が悪化してきたことにより、絹需要も大きく減退するなど一段と厳しさを増してきています。
 このような状況に対処し、我が国の伝統文化を支える重要な産業である蚕糸・絹業の活性化を図るために各地で繭・生糸のブランド化、消費者のニーズにあった商品の開発などが行われているところであります。
 社団法人日本絹業協会・ジャパンシルクセンターといたしましても生糸・絹の需要増進を推進するため啓蒙宣伝などを通じて、こうした取組みを積極的に支援することなどにより、蚕糸・絹業の維持発展に最善の努力を尽くして参りたいと考えております。
 シルク愛好家の皆様をはじめ関係各位のご協力とご支援をお願い申し上げ、就任のご挨拶といたします。

退任のご挨拶 上田荘三

この度、日本絹業協会の専務理事を退任いたすこととなりました。
 顧みますと10年一昔と申しますが、昭和62年10月以来丁度その期間になりました。この間会員各位や協会関係者を始め、全国に亘る多くのシルク愛好者のご指導、ご支援を賜り、シルクの宣伝普及活動を日々楽しく勤めさせて頂くことができました。厚く御礼申し上げます。
 シルクを巡る環境は内外共に厳しいものがありますが、その中にあって、ニーズに合った商品の開発と市場の開拓、個性にあった商品の選択と着こなし上手などシルク製品を巡る問題は生産者、消費者とも着実に話題を広げ、関心を高めてきていらっしゃると感謝とともに思いを致しているところであります。
 今後とも、シルク愛好者の輪を広げ、日本絹業協会・ジャパンシルクセンターを引き続きご愛顧頂きますようお願い申し上げると共に、シルク愛好者各位のますますのご健勝を祈念申し上げ、退任のご挨拶とします。