第68号(平成11年 7月15日)

紡 ぎ を 着 る その2

ツムギ製法技術研究会 西城正子

手紡ぎのオリジナル洋服を作ってみよう

「材料とその作り方」

フ糊 5g を1 の水に浸けてふやかしてから火にかけ、一度煮上がったら火を止めます。
木綿袋かそれに変わるフキンでこします。使うときには適宜薄めて利用します。よこ糸や編み糸用には、3〜4倍に薄めたものがよいでしょう。

手つむぎ1. 2.

3. 4.

手紡ぎの方法

(1)紡ぎ車のボビンに導糸を結びつけて糸道を通してからガイド糸と繋いでおく。
(2)糊は浅い平な容器(鍋蓋を利用)に入れてひざの上に乗せて、糸を送りながら糸条に糊を右手で付ける。
(3)体はボビンと平行に糸口、両手、ガイド糸 を左に並んだ状態に位置をとるのがよい。
(4)両腕は脇につけ、前に出し肩の幅で膝の上で糸紡ぎをする。
(5)右手は糸口から10cm位離れて、ガイド糸を下から支え、左手の中指と薬指の間に通して自然に右手側に向け、人差指の腹の上に 親指の腹を当て、その間にガイド糸があるよう構えると自然に体も起き背筋も伸びる。
(6)繭綿は一個左手に持ち、小指と薬指で軽く押さえ、ほかの指で自由にコントロールする糸口に向かって扇状に開いた状態(手紡ぎ1.)に左手と指で加減しながらガイド糸に絡 ませ、ボビンに巻き取る。
初めは両肩に力が入るが、慣れるに従って力も抜け均一な糸が紡げるようになります。命綱のガイド糸がガイドしてくれるので安心です。

大枠(綛枠)への巻き取り

 紡ぎ車のボビンが一杯になったらベルトを外し、ボビンのブレーキもゆるめてフリーにする。
 糸端を大枠角に結びつけて(下糸)手前に3回、7cmの綛幅を取って向う側に 3回転し、その間で綾を振りながら巻き上げる。(上糸)

大枠巻き取り

口止め・あみそ

下糸のある枠角で下糸と上糸を合わせ、長い方の糸で綛幅を一巻して右側で結んで口止めする。別糸で枠角の真中で糸を渡して 2回あみそをして右側で結ぶ(あみそは綛糸の乱れを防ぐ)。裏側でもう一か所あみそをする。

綛糸

大枠に巻いた紡ぎ糸は「乾いた枠から外します」綛は両手でぴんと張り 2〜 3回捻って2つに折り、片方の輪の中にもう一方の輪を入れて引き出して手を離すと綛糸の出来上がりです。普通一方撚りの糸を單糸といいます。

綛糸(単糸)

紡ぎ工程の比較

図 6は紡ぎの従来法とガイド糸法との簡単な比較図です。

図 6−紡ぎの従来法とガイド糸法との比較図

ガイド糸法はその工程を大きく省力していることが判かるでしょう。
 絹のように高級な素材を扱って、手作りしようとするときは、素材の持つ特性を生かしてなるべく工程を省いて簡単な工で、いい物を何気なく着たいと考えるのは多くの女性が考えているのではないでしょうか。写真のスーツは縫製以外は総て手作りで、たて糸、よこ糸とも紡ぎ糸で作られた大変欲張った処女作第 1号です。

双糸(諸糸)を作りましょう

単糸はこのまま織物に使われます。たて糸に単糸を使うときは、はじめから撚りを強めにするとか、毛羽立ちを押さえるために糊を濃くするとかして打込み筬の摩擦に耐えられるようにします。編み糸などを使うときは単糸を2本撚り合わせて双糸にします。
(1)単糸を2本の大管に巻き取る。
(2)大枠掛けスタンドに鉄棒に通した大管を 2本並べてセットする。
(3)紡ぎ車のベルトを外し、交差するように掛け替える。
(4)導糸に単糸の先 2本を一緒に繋げる。
(5)2本の単糸の間に左人差指を入れてささえ、紡ぎ車を回転させ単糸を紡ぐときと同じスピードで撚りを均一に掛けながらボビンに巻き取る。(右寄りが掛かります)
(6)大枠に巻いて口止めをして、あみそをします。

作品第 1号

撚止め

 おおよそ撚の掛かった糸は、何らかの方法で撚止めをします。
 この紡ぎ方法では、単糸のときは大枠に巻いて「乾いたら外しましょう」とありました。これは糸紡ぎの時ひざの糊をつけながら紡ぐので、糸は濡れた状態で大枠に巻いています。乾いたら外すというこの「乾いた状態」がすでに撚止めになっています。
 双糸の撚止めは大枠に 7cmの幅に糸を巻いて、口止め、あみその後に霧吹で糸が湿った程度に霧を吹きます。そして乾いたら外します。 撚止めは糸の使い道や目的によって異なりますが、この場合はこれで十分止まります。

ベストを編む

 双糸が出来たら、ベストを編んでみましょう。Mサイズで1000m 弱で手編み、機械編みいずれも可能で100gくらいに仕上がります。
 編みは軽くて、滑らかで光沢のあるのが特徴です。肩のこらない、着ていてることを忘れさせる着心地は言葉には言い表せないものがあります。編み糸にするからと意識して太目の糸はおすすめできません。単糸で木綿の縫い糸位の太さが目安です。
 洗濯は中性洗剤か絹用洗剤を少なめにして、浸して軽く押し洗いにします。
 写真 2は海外協力隊員で、一時帰国の際に10日間紡ぎの研 修に来られた方の自作の作品です。繭の染色精練から紡ぎまで一通りの工程を実習し、更に、その実績の答えが欲しいと丈の短いベストを作り着用して帰られました。全く初めての紡ぎ、初めて触る編機ではありましたが、この技術を任地で役立てたいと嬉しそうでした。

短時間で作られたベスト


「第27回みんなの消費生活展」(奈良)開催

神戸農林水産消費技術センター 谷口英昌

 古都、奈良の平城京は、清々しい初夏の風に包まれていました。その史跡が一望できる総合小売マーケット、奈良ファミリーにおいて奈良県生活科学センター主催により「第25回みんなの消費生活展」が去る 5月28日(金)から30日(日)の 3日間開催されました。神戸農林水産消費技術センターでは、消費啓発業務の一環として、この生活展に協力参加いたしました。
 『学び、考え、行動できる消費者に』をメインテーマに掲げたこの生活展は、マーケット内の比較的人通りが多いコーナーに設営されましたので、買い物客の足が必然的に各種展示物の前で止まっていました。特に「シルクの商品知識」をサブテーマにした展示コーナーでは、幼稚園児から中学生、高校生や大学生、中高年齡者と幅広い客層の足が立ち止りました。例年、当管内の各地で開催される消費生活展にシルクコーナーを設けたのは、今回が初めての試みだったのですが、蓋を開けてみるとジャパンシルクセンターから拝借したパネルやパンフレットなどでシルクコーナーは大変人気を呼んでいました。特に「シルクガイドブック」「シルク読本・The Silk」「シルクと上手につきあう方法」などの小冊子は、午前10時の会場で午前中に品切れ( 1日20部から50部用意)となってしまいました。
 そこで、午後からはワープロでの手作りパンフレットで対応しました。何が人々を魅了したか。パンフレットのほかに展示品を紹介しますと、以下のとおりです。

蚕に興味津々の子供達

1.パネル 「シルクの誕生」「シルクは安全快適な健康衣料」「製品の管理」「絹利用系統樹」(以上ジャパンシルクセンター作成分)ほかセンター作成分 2枚。
2.展示品 「蚕50頭」(徳島県農業試験場より)。「繭、生糸(きもの 1着分)他 5点以上のほかに来場者にプレゼントする乾繭 1個と繊度糸 2本をビニール袋に入れたもを600個用意しました。これも瞬く間に品切れとなりました。
 何と言っても人気No1は生きた蚕でした。中学生のお嬢さんを連れたご婦人は、二人して「生まれて初めて蚕を見た!」と目をパチクリさせていましたが「繭を作り始めるころになって、蚕はようやく光の明暗が分かる程度の目なんですよ」との説明に「これからはきものをもっと大切に扱います」とシルク・絹のルーツを知って感激した様子でした。また、去ろうとする母親の手を振り払って、何度も蚕を覗きに戻ってくる 5才ぐらいの男の子もいました。
 30年前、県の繭検定所で働いた事があるという老人が、ポツリと「桑の樹を抜いてイモ畑にした頃を思い出しましてねえ」と。その姿が印象的でした。
 今回のシルクコーナー設置が成功裏に展開できた事は関係者の皆さんのご支援かと考えております。今後ともシルクを広くPRするために引き続きこの種の展示会を展開していく事を検討いたしております。


イ ベ ン ト 情 報

親 と 子 の 『 か い こ の 自 然 教 室 』
 夏休みの自由研究に最適の「絹を生み出す蚕の観察学習」が行えるイベントを開催します。是非小学生の皆様の参加をお待ちしています。

主 催:シルク博物館(横浜) 後 援:神奈川県教育委員会・神奈川新聞社

会 期:平成11年 7月20日(火)〜 8月 8日(日) 休館日 毎週月曜日

体験学習時間:午前10時〜午前11時30分・午後 1時〜午後 3時

場 所:シルク博物館・特設会場 横浜市中区山下町 1 シルクセンタービル地下 1階

※申込み・お問合せ先:シルク博物館・045−641−0841