第71号(平成11年11月15日)

紡ぎを着るその3

ツムギ製法技術研究会西城正子

 誰でもが簡単に糸が紡げるユニークな方法として、絹のガイド糸を使った糸紡ぎと繭を精練するときにその繭に色付けする方法を前回に紹介しました。今回は、繭を色々な色に染めておくと、糸を紡ぐときに一層自由に色が選べて作品作りが楽しくなるので、そのお勧めの方法を紹介いたします。
 染料を買うとき染料は赤、青、黄の三色がおすすめです。この赤、青、黄の三色は色々な色を染め分ける基本の色です。二色の色の幾通りもの組み合わせによって思わぬ色が表れてきます。例えば、赤と青で紫色に黄と青で緑色に赤と黄でオレンジ色になります。また組み合わせの割合によって微妙な色の変化が楽しめます。
 染めた時の行程や結果は、詳細にメモして染め上がったり精練したもの紡いだ糸も添付してあなたの記録ノートを作りましょう。
 糸の太さ紡いだ糸の太さは、糸の長さ(m)と重さ(g)を計算して割り出します。

番手方(メートル方)=糸長(m)÷ 糸重(g) …番手(s)

これはメートル番手の出し方で100mが100gのとき1番手(s)で表します。500mの糸が25g のとき糸の太さは500m÷25g =20(s)番手といいます。

絹糸のように長い繊維のときはデニール(D)で表します。

糸の太さ(デニール方)=(糸重(g)×9000)÷糸長(m) …(D)

上と同じ500mの糸が25g あったとき 25g×9000÷500m= 450D(デニール)です。

このように糸の長さを500m綛にしておくと計算もし易いでしょう。糸の太さの計算ができたらその成績は、札紙にも書いて綛に付けておきます。
 一つの作品を作る時は目的分量の糸を紡ぎますが、そんなとき綛ができます。札紙の成績を見ながら太さの範囲を決めて同じ位の糸を集めると、作品製作上大事なことで太さの揃った出来映えの良い作品が得られます。デニールの時も同様に50D範囲とか 100D範囲と決めて集めたり、番手の時は20番手を中心に 2〜 3番手間隔に決めます。毛糸の中細は 4番手位で、太糸は 3番手くらいです。極太糸は 2〜1.5 番手と数字が小さくなる程糸は太くなります。 デニールでは数字が大きくなるほど糸の太さは太くなります。ガイド糸は90〜 100デニールです。きものの一越縮緬に使われ生糸は、27中といって27デニールを目的に繰られた糸で、何本か引揃えて水を含ませながら撚った強撚糸が使われています。

撚(より)と撚数

撚のことがでてきたので一寸触れておきましょう。
撚には左撚と右撚があって、Z撚、S撚りといいます。
 糸を 3cm位切ってタテ方向に観察しますと、左側の糸は撚目が左に流れていてZ字の左に流れている線と同じでZ撚=左撚と呼びます。右側の糸は、目が右に流れていてS字のS撚=右撚と呼びます。
 ここで紡いでいる糸は左撚です。同一方向の糸を 2本合わせて逆撚を掛けると双糸または諸糸といって寄目はS方向です。 3本合わせの右撚は三つ子と云って糸は丸みがあります。撚りの数はχ回/mのように1mにχ回で表します。Z撚り、S撚り 300回/m、 800回/m、1500 3000/mで表し、甘撚、普通(中撚)撚、強撚と呼び紡ぎでは洋服地の緯糸では 600 800回/m位の撚数( 450デニール位の時)がほしいものです。

真綿を作ってみましょう

原料の玉繭を精練処理して、洗い上がったものを脱水して 1粒毎に分離します。これを練繭と云います。この練繭から真綿を作ります。
 道具は、水を張ったタライかそれに代わる容器を使います。(冬期はお湯をさします)

1.手掛け

練繭を3ヶ水に浮かせる。水分を吸った練繭1ヶを左手にのせ、2〜3回右手でそっとたたくと蛹か透けて見えてくる。
 蛹に近いところを摘んで両手の指で口を三角に開ける。その一辺に右手の小指を外側から引っ掛け、右手人差し指と母指で繭を左手の母指以外の4本の指の付け根まで帽子をかぶせるように、繭を裏返して、右手の小指は左手の小指の付け根のところまで滑らせて離し三角に開ける状態ます。
 蛹と脱皮殻や汚れなどを丁寧に取り除きます。2つ目の繭も3つ目の繭も同様にしてこの上に重ねて掛けます。深く掛けるのがポイントです。

2.外し方

右手2本の指を内側に入れて、水の中で下方に引くと綿の口が伸びてはずれます。ギューと 手掛けした帽子状の袋に両手拳を入れて外側に伸ばし、横長の袋状にし水から出して折り畳んで絞ります。竿に掛けて自然乾燥します。
 本場結城紬の原料は袋真綿が使われます。熟練者の作る真綿は、内容的にも斑が無く色・艶も美しく型が揃っていて見事なものが提供されます。

角真綿

 角真綿は四角平面に伸ばされた真綿をいいます。
 角真綿用の木枠があって定まった寸法で、木枠の4ヶ所に切込が入っています。小判30c、大判で45cです。
 手掛け 3枚で角真綿 1枚とします。

1.水を張ったタライに木枠の足を入れて前方に立て掛けます。

2.手掛け 1枚を取り上げ、外側に大きく口を開け、耳を逃がさないように水辺を利用して右へ右へと一回りしながら耳側だけを伸ばし、枠前に持上げたとき枠幅の逆三角形位にして上の切込の左右に耳を薄目にして引っ掛けます。そのまま耳に沿ってやや引っ張りながら下の切込みに持ってきて右、左と耳を薄く引っ掛けます

※耳とは、真綿の縁の部分を呼びますが、良質の真綿はこの耳の部分より薄く伸ばして斑が無く中央部が高くなるような展綿を良とします。

3.手掛けの 2枚目、 3枚目も同様に伸ばして、この上に重ねて掛けます。

4.下の切込みから外して三つ折にし上を外して横 2つに折って絞っておきます。

次号へ続く


『やさしさはシルクです』シルクフェア’99開催報告

東急百貨店東横店販売促進課

 本年も関東百貨店協会主催の「やさしさはシルクですシルクフェア’99」を東京都及び千葉、埼玉、神奈川、茨城、山梨の各県の主要百貨店で 9月上旬より11月上旬の日程で開催いたしました。
 本年は、東急百貨店東横店を核店舗として、西館 8階催物場を中心に全館のシルク関連売場において去る 9月17日(金)〜22日(水)の 6日間開催いたしました。
 この催物は、良質な絹製品の提供によって消費者の質的向上と絹製品の需要喚起及び販売促進に寄与することを目的とし、日本絹業協会、日本絹人繊織物工業会のご協賛、通商産業省、農林水産省、中小企業総合事業団、農畜産業振興事業団のご後援をいただき実現いたしました。


シルクフェア’99会場入口

 開催にあたりましては、私ども東急百貨店東横店で開催いただくメリットについて関係諸団体の皆様のご指導のもと工夫を重ね各種の準備を推進いたしてまいりました。そこで今回は、より多くの消費者の方々にシルク製品の紹介ができるように大動員がかかり、女性をターゲットにしたアクセサリーバーゲンを同時開催すると共に弊店が本年開店65周年を迎えるにあたり、特別企画という位置付けで本催しを開催いたしました。
 本催事の広告媒体は、折込み広告を20万部、ハガキDMを 1万通、車内吊りを 1,500両分製作、またポスターを店内各所に掲示し集客を図りました。

イベントは連日「つむぎ車による糸紡ぎ実演」「繭クラフト製作実演」を会場内で行うと共に 9月18日(土)、 9月19日(日)の両日にはきものの女王に来店いただき会場の内外でデモンストレーションを行いました。
 会場は 1週間を通して大勢の御客様で賑い、シルク生産に関するパネル展示やシルクに関する各種のパンフレットも御客様から興味を持って迎えられ、盛況のうちに終了いたしました。


イベント情報

 

’99伝統工芸ふれあい広場・静岡

◎主催:伝統的工芸品産業振興会◎日時:11月18日(木)〜11月21日(日)

◎場所:静岡市・ツインメッセ静岡◎入場料:無料◎特別協力:(社)日本絹業協会


野村シルク織物新作展

〜絹、その源流を訪ねて〜

●日時:11月30日(火)〜12月5日(日)

●場所:染司よしおか東京店03−3478−0737

東京都港区西麻布1−4−40西麻布篠ビル1階


第64回グランマルシェ

★日頃シルク製品ご愛用の皆様に贈る今年最後の御奉仕「グランマルシェ」開催!!

★シルク製品の有名メーカーや小売店、ジャパンシルクセンターなど多数出店します。

 シルクのスカーフからインナー、ブラウス、スーツなど色々なシルク製品をお手頃な価格で通常の10倍以上の豊富な品揃えをいたしております。
 全商品が20〜50%のプライスダウンで御奉仕いたします。
 お友達、知人の方々もお誘い合わせての皆様のご来場お待ち申し上げます。

◎日時:12月6日(月)〜9日(木)午前11時〜午後6時30分(毎日)

◎会場:丸ノ内仲通りジャパンシルクセンター

東京都千代田区有楽町1−9−4蚕糸会館1階03−3215−1212

◎交通と最寄り駅:JR『有楽町駅』下車徒歩5分

地下鉄・有楽町線『有楽町駅』日比谷線・都営三田線『日比谷駅』各下車徒歩5分

編集協力:農林水産省畑作振興課、農畜産業振興事業団


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