第73号(平成12年 1月15日)

発行: 社団法人日本絹業協会・ジャパンシルクセンター

 

新 年 の ご 挨 拶

社団法人日本絹業協会 会長 二瓶 博

蚕糸絹業関係の方々を初めとしてシルク愛好者のみなさん、平成十二年の新春を迎え誠におめでとうございます。ところで、日本経済が現在やや明るさを取り戻しつつあるとはいえ、いまだ不況を脱しきれていないことは家計を預かっている主婦の方々が身をもって痛感していることと存じます。
そのようなことから、消費者の財布の紐は固く必需品とはいえないシルク製品に手を出しにくいのが実態のようです。ちなみに昨年の生糸価格は 3,300円/kg程度と40年程前の水準に逆戻りして推移しているにもかかわらず、平成10生糸年度(平成10年 6月〜11年 5月)の絹需給表(生糸換算)をみますと、国内需要は 221千俵と 4年前の 393千俵の何と56%にまでドラスチックに落ち込んでいます。
ところで、過般(平成11年 7月 5日〜 9日)フランス国リヨン市で開催された第22回国際絹業大会において、近年、世界の繭・生糸の生産者が減少傾向を辿っている中で、生糸の生産国(中国、ブラジル等)や消費国(フランス、イタリヤ等)から近況報告を伺っていてもシルク製品の消費は伸びている訳ではなく、さればといって、さほど大きく落ち込んでいる訳でもないという印象を受けました。
何故、日本と欧州とで絹需要の面で大きな落差が生じているのであろうか?その最大の要因は、

1. 日本の生糸消費の80%は、伝統的民族衣装である和装品向けであり、洋装・洋品雑貨等は20%にも過ぎない。
2. 欧州(イタリヤ・フランス等)は当然、和装洋品向けが無く 100%洋装用である。
この消費実態の差であろうかと思料される。
従って、和装品(きもの、帯等)は、織・染・柄等の手の込んだ言わば伝統工芸品として高額にならざるをえない上に、スカーフ、マフラー、ネクタイ等に比べて糸使いが圧倒的に多い。たとえ、政府の施策宜しきを得て景気回復したとしても和装需要が旧に復するのは、そのタイムラグを考慮に入れたとしても、至難の技であろう。さればといって手をこまねいていては、益々ジリ貧となる。幸い、近年全国各地できもの愛好家ないし機屋との提携の下にブランド繭・生糸を用いて差別化された魅力ある絹製品の試作・販売が行われつつあります(紙数の関係で具体例省略)が、発展を祈りつつその動向を注視しているところでです。
いずれにしても、今年は西暦2000年と千年に一度のミレニアムのスタートの年に当たる意義ある歴史的な年でありますので皆さん共々絹の需要増進の面で明るい年になりますようお祈りする次第であります。


シ ル ク に よ る イ ン テ リ ア 製 品

−シルクシェル及びプレスドシルクの開発−

蚕糸・昆虫農業技術研究所 製糸技術研究チーム 高林千幸

 シルクは、現在その約80%が和装用に使用されていますが、今後シルクの需要拡大を図るためには、和装以外の洋装用、寝具類、インテリア製品あるいは工業用資材等に幅広く展開することが必要と思われます。
 これまで洋装用として、ハイブリッドシルクを始めとする絹新素材の開発を行ってきましたが、今後、海外と競合する中でそれぞれ独自の物づくりをしていくことが求められます。
 そこで、シルクがあまり入り得なかったインテリア面への利用を図るため、繭から直接ランプシェード等を作り出すという、これまでの発想に全くなかった絹新素材“シルクシェル”及び“プレスドシルク”を開発しました。

1.シルクシェル

 シルクシェルは、繭から解離した繭糸を円筒・円錐・球体等の立体形に巻き付け、繭糸の持っている粘着性タンパク質であるセリシンによって繭糸相互を接合し、思い思いの形を作り出すとうもので、蚕が繭糸を吐いて形成した繭殻(Cocoon shell)をイメージし、シルクであたかも繭のような殻を形成したので、シルクシェル(Silk shell)と命名しました。
 シルクシェルの製造方法には円錐形と球体形の 2種類ありますが、本製品は、黄繭・笹繭(黄緑色の繭)・天蚕繭等の天然の色をそのまま生かすことができ、また、予め繭を天然染料や化学染料で染色することも、通常の白い繭で作ったシルクシェルに着色することも可能です。
 ランプシェードの外観はシルク独特の光沢と優雅な風合いがあり、海外への販路も期待されています。(写真 1.2.3)

2.プレスドシルク

 プレスドシルクは、特殊な品種の蚕が作る平面繭に類似の繭糸によるフェルト構造を機械的に作ったもので、平面繭とは異なり様々な大きさや厚さの形状のものを作ることができます。
 その製造方法は、煮熟繭から解離した繭糸 1本 1本を分離した状態で繰製したシルクウェーブを素材とし、繭糸がランダムでしかも平面状になるように広げ、それに適度の水分を与え、繭糸の保有する粘着性セリシンを膨潤させ、その後高温プレスすることにより、セリシンが繭糸相互を接着しフェルト状あるいはペーパー状のもの(プレスドシルク)とします。
 プレスドシルクの薄いものは、その光沢と繭糸の繊細さを生かした障子・襖紙・ランプシェード等に利用可能で(写真 4)、厚いものはシルクの吸着性を生かしフィルターに、またシルクの保温性や吸湿性を生かし靴中敷としても利用できます。

写真 1 球形状のシルクシェル

 

写真 2 筒状のシルクシェル

写真 3 シルクシェル“絹煌めき”

写真 4 プレスドシルク“絹やすらぎ”


イ ベ ン ト 情 報

 

第 5 回 『 真 綿 の ヴ ィ ジ ュ ア ル ・ ア ー ト 』 公 募 展

真綿の魅力を身近に感じて、真綿を理解いただくために一般公募した「真綿のアート」の 入賞作品の展示発表会※会期中に紬のきものでご来場の方に粗品を進呈いたします。

◇撮影会のお知らせ 2月 5日(土)紬のきものでご来場の方にはご希望によりプロカメラマンによる撮影を無料で行います

◎主 催:財団法人日本真綿協会 03-5814-4881

◎日 時:2月1日(火)〜2月6日(日)

     午前11時〜午後6時まで ただし最終日は午後4時で終了

◎場 所:電通恒産画廊 中央区銀座6-5-1 ミユキ共同ビル地階 03-3572-5444

◎交 通:地下鉄丸の内線・日比谷線「銀座駅」より徒歩3分・銀座線銀座駅より徒歩4分

JR「有楽町駅」ヨリ徒歩5分


『 ハ イ ブ リ ッ ド 絹 展2000 』

◎主 催:シルク開発センター 03-3364-0469

◎日 時:2月8日(火)〜2月10日(木  初日……14:00 〜17:00

        9・10日…10:00 〜17:00

◎場 所:有楽町蚕糸会館6階

◎交 通:JR「有楽町駅」下車 地下鉄「日比谷駅」下車 共に徒歩5分


『 京 の 伝 統 文 化 ( き も の 中 心 に ) 』 に ふ れ て み ま せ ん か

きものの故郷「京都」から生産者が、皆様に直接シルク製品を見ていただき安心してご購入いたたでける機会を設けました。

◎主 催:京都伝統産業青年会

◎後 援:京都府(商工部・染織工芸部

社団法人日本絹業協会

◎日 時:2月29日(火)〜3月2日(木)午前10時〜午後6時

◎場 所:ジャパンシルクセンター 有楽町蚕糸会館1階 03−3215−1212

◎交 通:JR「有楽町駅」下車 地下鉄「日比谷駅」下車 共に徒歩5分