第77号(平成12年6月1日)

発行: 社団法人日本絹業協会・ジャパンシルクセンター

アンケート調査から見た洋装関連シルクの傾向

文化女子大学 教授 松尾順子

はじめに

 現在、繊維製品中に占める絹製品の割合は僅少である。しかも、わが国では和装素材として多く使われていたが、和服を日常着として着用する人が減少し、着用する機会も限られ、洋装素材としての消費拡大が願われている。一般に絹は高級品と考えられており、今後、若い世代に絹製品の着用を期待するのは難しい面もある。そこで、調査を中心としてどの程度の絹製品が日常生活で着用されているかを調べた結果から絹の現状をとらえた。

調査方法

 絹の現状の一部を知るために、一般的ではないかも知れないが20才代から60才代を対象に、絹製品がどの程度、所持されているかをアンケートで調べ検討した。

 アンケートは実際に被服を作る教員を対象に行った。具体的な質問内容は、(1)現在、日常生活で着用している絹製品の種類(2)着用している製品の品質表示(3)着用の目的(4)着用後の管理(5)絹を縫製する場合の注意点および使用する糸の種類(6)絹ミシン糸をどの様な場合に使用するかなどである。

 20才代については今回調査した結果に、11年度に学生を対象とした調査を合わせてまとめた。30才代から60才代については今回調査したものを30才代・40才代と50才代・60才代の2グループに分けその傾向を見た。

調査結果からみた現状

(1)絹製品の所持枚数 表1にまとめた30才代・40才代のグループについては、全体を通してみると絹100%の製品の一人当たりの平均所持枚数は9.7枚で、50才代・60才代ではかなり多く、31.7枚であり一番所持枚数が多いのは、スカーフで、30才代・40才代では一人当たり約5.2枚、50才代・60才代では約7.6枚である。これは表2の20才代の結果に比較してかなり所持枚数が多いことがわかる。このことから、現在の熟年者の女性で絹を着用している人は所持枚数が多いので、絹の愛用者がいるということが示された。

(2)着用の目的、管理 着用の目的、管理についての問いに対しては次のような意見があった。

Tシャツ、セーターなどは、絹ということをあまり気にせずスーツのインナーとして、また、Gパンなどと組み合わせて、日常的に着用しており、着用後は家庭で手洗いをしている人がほとんどである。スカーフはセーター、シャツ、スーツなどと組み合わせて防寒や、おしゃれのアクセントとして用い、スーツやワンピースは他の繊維製品と同様に外出用、フォーマル、パーティ用、また日常着として広く着用されている。これらについてのクリーニングは市中のクリーニング店に出している。しかし、パジャマなどは家庭で洗濯機洗いをしており、絹製品であっても服種により管理の対応が異なっている。

(3)着用感

 着用感については絹の持つしなやかさ、光沢の良さ、肌触りの良さ、着心地のよさ、絹を身に着けているという満足感などの着用感があり、これが所持枚数を増やしていると思われる。

(4)絹製品の縫製と糸

 絹を縫製する場合の注意点と使用する糸の種類については次のような意見が見られた。

 針は細くて新しいものを使う。これは針先が丸くなっていたり、傷んでいると布地の糸を引き込むためである。針目は細かすぎないように注意し、糸調子はゆるめにする。

 縫製には絹ミシン糸50番、100番を使用し、縫製時にパッカリング(縫いつれ)が起きないようにハトロン紙やトレシングベーハーを当て一緒に縫製する。

 アイロン使用時の水分は水じみができやすいので注意する。また、当て布をし、風合を損ねないようにアイロンは裏からかける。

 絹ミシン糸はどの様な場合に使用するかについては綿以外の絹、ウール地、合繊など広い範囲に使用しており、シャッペスパン糸(ポリエステル紡績ミシン糸)より細くやわらかいため、縫い目がかたくならなくてよいという意見があった。

まとめ

 絹製品といえども海外からの輸入品が絹製品の価格を下げ、現状は、本来の優れた国内品のみが着用されているわけではないと思われるが、化合繊の拡大と共に、本来の絹の優れた特色を大切にして、いかに上手に取扱いながら着用するかを考えていくことが大切である。また、これからは高齢者、身障者の衣服としてのアイテムを考えると、絹が浸透していく場がかなりあるので、この方面での普及に努めるということが大切ではないかと考える。

 


    
本場大島紬について その1

鹿児島県大島紬技術指導センター 染色化学研究室 室長 仁科 勝海

本場大島紬とは 

 名瀬市を中心とする奄美産地と鹿児島市を中心とする鹿児島産地に大別され、鹿児島県が誇る伝統的先染絹織物であり、代表的な特産品である。その特長は、伝統的技法である精巧で繊密な絣を作りだす織締め絣加工技術と、古代染色“泥染染色”に代表される。図案調整から始まり、糸繰り・整経 ・糊張り・織り締め・染色・製織等大きく分けても30数工程と気の遠くなるような複雑な工程を総て、しかもそのほとんどが手作業により作りあげられた織物です。

大島紬の柄模様は

 “2回織り”ともいわれ、その絣は織締めによって作られる。1本1本の糸に先染めされた“絣”と“絣”の集合によって表現され、絣糸をていねいに合わせて織りあげる、世界に類をみないみごとな絣織物である。この緻密な絣は、昔は防染部分を糸で括って作っていたが、現在は締め機を用い、絣筵を織る方法で作っている。また、最近はジャカード締め機等による絣筵作成の研究も進んでいる。

本場大島紬の製造工程

大島紳の染色は

 奄美地方に伝わる古代染色である泥染染色により染め上げられる。泥染染色とは、シャリンバイの煮出液と、自然の泥田で染色する一種の草木染色であり、その色調や風合は、なんともいえない自然の色を醸し出す。

大島紬の特長は

 泥染大島紬は、軽い・暖かい・シワになりにくい・着崩れしない・しなやかである・渋い色調であるなどの特長があり、独特の風合を持つ織物です。最近の消費者ニーズの多様化、個性化などに対応するため、泥染染色以外の草木染や化学染料を使用した色彩豊かな、明るい感じの大島紬も作られている。また、消費者に安心してもらうため、両産地の組合においても厳しい品質検査を実施し、よりいっそうの品質向上に努めている。

大島紬独自の風合いを出す泥染染色

大島柚の分類は

 絣糸の使用方法により、経(たて)と緯(よこ)の絣糸を正確な絣合わせによって織りだした模様の製品を「経緯絣の大島紬」、また経糸は無地または縞糸の配列で絣糸は緯だけに使用して織りだした模様の製品を「緯絣の大島紬」と称している。また、染色方法によって分類すると、「泥染大島紬」「泥藍大島紬」「藍大島紬」「色大島紬」「植物染大島紬」などがあります。織り組織上、13算の大島紬、15.5算の大島紬などは経糸の密度でも分類され、最近では18算の高級製品も作られている。経絣糸の本数で区別する方法では、5.8マルキ・6.0マルキ・7.2マルキ・9.6マルキなどの呼称があります。また,経糸の配列による分類もあり、カタス越式・1モト越式・1モトカタス越式・2モト越式・割り込み式などがあります。

 また,大柄(女物)・小柄(男物)の分類もあります。

絣の染色

大島紬の現状は

 着味のよさ等により、消費者に愛好されてきた本場大島紬も、最近の着物離れによる和装需要の減退や、着物知らずの層拡大により、厳しい環境に置かれています。昭和51年、98万反近くあった生産反数は、昨年度には、13万2千反と減産を強いられています。産地においては、業界はもちろんのこと、いろいろな支援機関一体となって、品質向上や新規織物の開発に向けた、試験研究に努めている 現状であります。

 平成11年度には奄美産地の地域産業集積活性化事業に採択され、これまで蓄積されている大島紬製造技術を利用した他分野への進出を目指し、活発なものづくりへの試験研究も行われています。

大島紬技術指導センターとは

 本県の染織工業、特に本場大島紬に関するデザイン、絣締、加工、染色、製織等の試験研究や新規織物の開発、技術指導・相談、後継者育成等の事業を通じて大島紬業界の発展に努め、これまでも数多くの研究成果をあげ業界への技術移転も図っています。奄美群島唯一の工業系の公設試験研究機関として地域産業の期待も大きく、開かれた・よく利用されるセンター、技術的よりどころとしてのセンターを目指しています。

 組織としては機織、デザイン、染色化学の3研究室と総務課より構成され18名のもと、下記の業務を行っています。最近は技術相談はもちろんの事、開放試験室の利用等も増加し、また、研究会への参加も多く、若手技術者を中心に活性化されつつあります。

 (業務の概要)

   1試験研究業務   2技術指轡及び相談業務   3後継者育成事業   4 依頼試験及び委託業務

   5各種研究会の指導及び支援   6繊維開放試験室及びハイテク開放試験室の管理、運営

   7研究成果発表会及び講習会等の開催   8定期刊行物の発行による技術情報の提供


 

 

 

 第65 回

 グ ラ ン マ ル シ ェ 開 催


  シルク製品ご愛用皆様待望のグランマルシェ開催!! 

シルク製品有名メーカー、シルク製品小売店、ジャパンシルクセンターなど多数出店 

全商品15〜50%のプライスダウン 

通常のより10倍以上の品揃え、多数の商品があります。

皆様のお越しをお待ち申し上げます。

お友達、知人の方々にもご案内頂ければ幸です。

 

期  間

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7月3日(月)〜7月6日(木)

場  所

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千代田区丸の内仲通 ジャパンシルクセンター
千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館
03-3215-1212

最寄り駅

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JR/有楽町駅
地下鉄各線/日比谷駅・有楽町駅

お知らせ

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グランマルシェ開催期間中に本状封筒をご持参下さい。
後日、抽選の上 名様に記念品を差し上げます。

        


 編集協力: 農林水産省畑作振興課、農畜産業振興事業団