第94号(平成13年11月1日)

11月15日は“きものの日”

今年も全国で大いに盛り上がる!

社団法人全日本きもの振興会事務局長 森崎正明

 全日本きもの振興会は、昭和41年にきものに関係ある業界27団体の総意により結成され、併せて11月15日が“きものの日”に制定されました。その後、全日本きもの振興会は昭和44年に国(当時:通商産業省)に社団法人として認可され、それ以降も今日まで“きものの日”を提唱してまいりました。

 11月15日といえば三世代が揃ってきものを着ることも多い「七五三」の日です。3歳から7歳は幼児から少年・少女期へと成育する時期であり、社会的にも情操面で大切な年頃です。3才の男児・女児ともに祝う「髪置きの祝い」は髪を伸ばし、「すが糸」を白髪になぞらえて子供の頭に載せ健康と長寿を願います。男児が5歳になると「袴着の祝い」として幼年期から少年になったことを祝い「袴」を着用します。7歳になった女児は「帯解の祝い」として着物のつけ紐を取り帯を結びます(これらの風習は地方によって多少異なります)。それぞれの儀式により日本人の心の象徴とも言えるきものの美しさが子供の心に刻まれることでしょう。

 全日本きもの振興会が「きものの日」を制定することになったいきさつは、昭和39年の東京オリンピックにさかのぼります。東京を訪れた世界各国の人々から「日本の民族衣裳は“きもの”だと思っていたのに、きもの姿をほとんど見かけないのは何故なの」という異口同音の声が大きくあがり、大変不思議がられたのです。

 本会ではこれらの声にたいし、設立初年度の事業を計画するに当り、本会のシンボルとなる日を制定しようということで、11月15日を“きものの日”と制定し、以来、本会ではきものの普及と振興を図るとともに、特に“きものの日”を中心に、その前後は「七五三詣り」や「きものの女王選出大会」など、きものに因んだ企画や行事が、毎年全国各地で盛大に展開されてきています。

 今年も全日本きものの女王全国大会は11月25印こ島根県出雲市で開催されることになっており、全国16地区から選びぬかれた各地区のきものの女王38名が、女王の座を競われる予定です。いずれもそれぞれの地区で選ばれた女王の皆さんはまことに百花繚乱、何れ菖蒲か杜若と、どなたが選ばれてもおかしくない中で容姿、教養、人柄の三点にわたって、真にきものの女王にふさわしくきもの振興のためご奉仕頂ける方が選ばれることになっています。

 また、きものの女王大会以外でも全国的にきものを着て楽しむ各種のイベントが催され、特に今年の話題は京都で10月1日から11月30日まで開催される「京都きものパスポート」は大変魅力に富んだ取組みとなっています。

 紅葉に染まる秋の京都は、四季の中でもはんなりとしたきもの姿がもっとも似合う季節で、西陣・岡崎・清水・東山など各地域で、この時期ならではの和装や伝統産業関連の各種のイベントが開催されます。

 その際に、きもの姿で大いに楽しんでいただけるよう、和装業界が特別に製作の「きものパスポート」を持参されれば、寺社仏閣をはじめ、各種の文化施設や提携先での割引やプレゼントなど特別待遇を得られるというものです。

 また、きものをお持ちでない方にも、きもの姿を楽しんでいただこうと、“きもの・秋ぶらり”と名称し、京都駅前(パ・ル・ルブラザ京都)と西陣織会館でレンタル及び着付サービスを行うという念の入れようなのです。

 こうした地域と業界が一体となって、きものを着たいと普段から思っているきものファンの方々に、お楽しみいただける特典満載の企画が、京都だけでなく全国各地でその地域の特色を生かされた企画が生まれることを願いたいものです。

 きものは、日本の風土に根づいていく過程において、われわれの先人が並々ならぬ知恵を積み重ねつつ確立してきた民族衣装であり、その美しさは国際的にも大きな評価が得られています。

 新しく21世紀を迎え、国際化がますます進行していく中で、私たち日本人が日本文化を身につけ、端的に表現出来るのは「きもの」をおいて他にはないでしょう。

きものを着ただけで日本人を表現することが出来るのです。

「きものは日本のパスポート」といわれる所以です。

2001年10月1日〜11月30日の期間中に、きものを着て特製“パスポート”を提示された方のみ、下記の特典を受けることが出来ます。

 本会では“きもので乾杯!国際人”というキャッチフレーズも提唱しています。海外との交流の機が多くなった今日、日本人であることの証しを求められることも多くなっています。あなたもきものを着ることにより、国際人として世界とメッセージを交わしてみませんか。

 日常きものに触れる機会が少なくなっている今日、“きものの日”は、きものがわれわれ日本人の生活環境と体格に極めて自然に調和するとともに、日本人らしい美しさと優雅さを感じていただけることを、再認識していただくより良い機会としてとらえられています。

 本会としては、今後とも引き続き、11月 15日は“きものの日”を広く提唱し、日本の伝統衣裳としてのきものが、大勢の人々に親しまれ普及発展することを念願しています。

 

■京都きものパスポートの内容■

・京都秋のイベントに招待、割引、記念品プレゼント

・提携の寺社仏閣での拝観料割引、記念品プレゼント

・提携美術館、博物館、資料館、記念館等の入館料割引

・提携のホテル宿泊料金、レストラン等で割引

・提携レストラン、料理店、喫茶店等の割引、記念品進呈


(前号からの続き)

 「群馬の絹」最近の動向

群馬県農政部蚕糸課 狩野寿作

3 ネットロウシルクの特性を活かした品開発

 ネットロウシルクは、繰糸する際に形成枠という装置によって網袋状に配列し、これを収束して糸にしたものです。つまり糸の形状は筒網状で、ソフト感、バルキー性があるとともに、見かけより軽いことが最大の特徴です。

 平成12年12月、このネットロウシルクを素材に、消費者のニーズに応じた個性化、差別化絹製品を開発するため、ネットロウシルク製品開発研究会が組織されま

した。研究会の構成員はテキスタイルコーディネーター、製糸業者、染織業者、織物業者、デザイナーです。つまり糸作りから製品化までの関係者がひとつのテーブルにつき、ネットロウシルク製品を開発しようとするものです。

 本年9月碓氷製糸農業協同組合の工場内にネットロウシルク繰糸機が設置され、ネットロウシルクの製造が始まりました。当面はネットロウシルク100%の太い糸、細い糸、カサ高のある糸、カサ高のない糸等を試作し、ネットロウシルクの特性を活かした製品を開発する予定です。また、来年度には、芯糸やカバリング糸に綿、カシミヤなどの天然繊維や金糸、銀糸などの合成繊維を使ったハイブリッドシルクの製造と商品開発を行い、あらゆる機会をとらえて多くの消費者に提案していきたいと考えています。

 先人の方々が研究開発したネットロウシルクの長所を生かしつつ、創意工夫をこらした個性的な商品開発を進め、付加価値の高い蚕糸業を展開したいと思います。

4 上州座繰り生糸の復活を月指して

 群馬県は古くから養蚕、製糸、絹織物が盛んで、江戸時代末期には歯車をつけた座繰り器「上州座繰器」が群馬で開発されました。幕末の開国以降、上州の座繰り糸はロンドンやリヨンで知れ渡り、良質な生糸はMybashなどと呼ばれ、明治時代の近代化を支える重要な役割を果たしてきました。

 その後座繰りは器械製糸の普及などにより激減してしまい、今では赤城山南麓を中心にわずか30戸〜40戸で生産されています。

 しかし、後継者がほとんどなく生産者の高齢化が進んでいるため、座操り糸製造も絶滅に近い状況になっています。

 そのような状況の中、平成12年11月28日〜13年3月14日まで、地元紙の上毛新聞に「世紀をつなぐ繭の記憶」が連載され、上州座繰りが取り上げられたことから、大きな反響が上毛新聞や県蚕糸課に寄せられました。

 群馬の伝統技術であり、独特の味を持つ上州座繰りを何とか維持継承したいと考えていた県蚕糸課で座繰り講習会を計画したところ、定員を大きく上回る参加希望があり、これ までに3回の講習を行いました。今後も計画的に座繰り講習会を開催し、群馬の伝統技術の維持継承を図るとともに、伸縮性に富みふくらみのある「上州座繰り糸」を復活させ、「群馬の絹」の活性化の一助にしたいと考えています。

おわり

 国際化の大波の中、海外からの繭・生糸・絹製品の輸入により蚕糸絹業はかつてないむずかしい局面を迎えています。つまり、経済効率のみを優先したら絶滅してもおかしくない状況です。

 しかし、「絹」は日本の文化です。農村では蚕のことを「お蚕さま」と呼び、いろいろな生活文化を育んできました。また、絹は「きもの」という民族衣裳を生みました。鉄や石油はいつか無くなってしまいますが、絹は人類の英知が生み出した天然繊維であり、永久になくなることはありません。

 私たちは、これらの文化を次世代に伝えなければならないと考えています。

 今後、蚕糸関係者のみならず多くの方々と共同して、外国産シルクとは棲み分けたオリジナルシルク製品を開発するとともに、県民共有の財産として次世代に維持継承するため に蚕糸業活性化のための多様な活動を展開したいと考えています。

イベント情報

−シルク愛好家に贈る歳末特別セール−
第1回 絹祭り

・永皆様に永らくご愛顧いただいた
グランマルシェの新企画・歳末特別セール!!
・シルク製品の各メーカーの協賛により
お求め易い価格でご提供いたします。
 また、普段お店にない商品も
多数取りそろえております。

と き=12月3日(月)〜5日(水)
    11:00〜18:00/
    12月6日(木)最終日11:00〜17:00

ところ=ジャパンシルクセンター
    TEL.03‐3215‐1212
    有楽町 蚕糸会館1階

主 催=ジャパンシルクセンター

後 援:シルクメーカー各社

 

第7回「真綿のヴィジュアルアート」公募展

真綿をより身近に多くの皆様に
ご理解いただくために広く募集した
真綿のヴィジュアルアートの展示会。

と き=12月3日(月)〜8日(土)
    11:00〜19:00

ところ=スカイドアアートブレイス青山
    渋谷区神宮前5‐51‐4ガレリアビルB1 
    TEL.03‐5485‐9573
    (最寄り駅:地下鉄「表参道」徒歩3分)

主 催=財団法人日本真綿協会
    TEL.03‐5814‐4881

編集協力:農林水産省畑作振興課、農畜産業振興事業団