第98号(平成14年3月1日)

ハイブリッド絹展'02 開催される

シルク開発センター長 勝野 盛夫

 平成14年2月5日から7日までの3日間、恒例の「ハイブリッド絹展'02」を東京有楽町の蚕糸会館、いつもの場所で開催いたしました。今回で12回目を数えます。各県、各企業の単独商品展示会は各地で見られますが、絹に係わる製品総合展示会はハイブリッド絹展が唯一であり近年特に注目されております。今回も出展の希望者が多く会場のスペースの関係から一部お断りした次第です。

 ここで主催のシルク開発センター並びにハイブリッド絹展について、その主旨、目的等紹介しておきましょう。昭和63年に農畜産業振興事業団の助成により、ハイブリッドシルクをはじめ新形質生糸等の絹普及事業としてシルク開発センターが設立されました。当センターでは研究機関、企業等で開発された絹新素材を取り上げ、関係業界に紹介し試作者を公募し、試作者の試作者の独創的製品をハイブリッド絹展に出展して頂き、皆様に紹介しその評価により更なる改良を図り、素材の一層の普及を図っております。展示会の初期の頃は、試作者の製品発表が主体でしたが、現在は試作者の作品商会は勿論のこと、最近の絹の多様化により衣料から非衣料にいたる絹関連製品の出展があり幅広い展示会となっております。ハイブリッド絹展と言うよりもニューシルク総合点の様相を呈してします。したがって最近の展示会は5つのコーナーから構成されております。(1)は特別出展コーナー、このコーナーは特別話題性のある和装・洋装、デザイナーによる拘りの作品などで、今回は日本きもの文化協会からの「アンチークシルク想いでの着物」と題して和服と、新進気鋭のデザイナー岡正子氏の絹新素材によるプルオーバーなど、その斬新的なデザインが注目されました。(2)は試作研究者のコーナーで、今回の提供素材はキュプラトシルクで9者32点が出展されました。初めて扱う素材ですので苦労したと思いますが、見事な製品が出来上がりました。手書き友禅の布団表地、また墨染めの婦人服地など商品化へ展開されるようです。(3)は地域ブランドシルクコーナーです。この地域ブランドコーナーは平成9年から設けましたが、年毎に申込みが多く全国規模になっています。地域の特徴を活かし消費者への展開に工夫を凝らした絹製品14者88点の出展がありました。群馬県からはネットロウシルクを主体としたプロジェクトチームの製品、また特繰糸の実演は多くの方々の歓心を集めました。岩手県の四川金黄の反物、福島県の小石丸生地、千葉県の平面繭製品他多くの県からひと味違った表情を持った製品が出展されました。(4)は試験研究機関からの出展です。第1回からご協力頂いている農業生物資源研究所・蚕糸科学研究所をはじめ県繊維試験所・指導所・蚕業試験所等あわせて17者82点の出展がありました。極細繊度“はくぎん”の製品、新しい形のハイブリッドシルク製品、その他多様化する需要者に対応する従来の絹と異なった製品が紹介されていました。(5)が一般出展コーナーです。絹+綿・(有)ハックのレギュラー出展者、今回初めての松岡(株)からは新素材フラットシルク製品、手織りのオリジナル製品、また化粧品、食品など21者311点の出展がありました。当日出展者自ら来訪者に説明していただきました。

 このように合わせで陳べ3者526点の出展がありました。寒い時期の3日間でしたが、国会議員、織編業者、商社や県職員、大学、学生生徒また団体の方々、マスコミなど、それから一般の方が大変多く800余名の来訪者がございました。試作者には素材の入手について、同様に地域ブランドでは県と商社、一般出展者には製品価格など盛んな情報交換の場となっておりました。

 消費者に好まれる差別化され、されに絹の良さを一層発揮するような素材が次々と開発されております。シルク開発センターではこれからも、開発された絹新素材を皆様に紹介また提供し、消費者の要望に応え好まれる商品の実用化に努めてまいります。


OKA・MASAKOブランドを展示

ファッションデザイナー  岡 正子

 ジャパンシルクセンターない二月十九日より、OKA・MASAKOブランドを常設展示することになりました。

 私は長野、東京を拠点にしてシルクを中心にポリ乳酸繊維などを用いた婦人服を展開しています。二年前にデビューして以来、百貨店や専門店、ギャラリーなどでの個展をベースに活動してきていますが、常設の売り場としては今回が初めてのオープンです。長野に生まれ、ファッションカレッジを運営する母の下で、幼いころからファッションに興味を持ちながら育てきました。若いときから数々のファッションコンクールで賞を受けてきましたが、いつのころから次々と作り、捨てられていくファッションに疑問を抱き、学校の運営に係わりながら、自らのデザインからは遠ざかってしまいました。

 そんな私がもう一度ファッションを志すきっかけとなったのは五、六年前にゴミ焼却場を見学した時です。とほうもないムダの山、環境汚染の山を見て慄然としました。ファッションという世界に係わりながら、自らができる新しい環境と人間とファッションの接点を探ってみることに目を向け、その思いが長野オリンピックの時のファッションショー「地球のためのファッション」のプロデュースにつながりました。そしてオリンピック後、再びファッションデザイナーとしてたちあがる思いを強くしたのです。

 人と自然への限りない優しさをもち、着易くて、人のこころを包み込むようなファッションの提案、それが私のテーマです。シルクはそんなテーマを具体化するのに最もふさわしい素材だと思います。シルク産業が日本の近代産業の歴史において重要な役割を果たし、長野はその中心的役割を果たしました。長野出身の私のデザイン、商品が蚕糸会館のショップに並ぶことは不思議な縁のような気がします。

■新しい素材とデザインが独自の世界を演出

 私がベースに用いるシルク素材はたて、よこ三倍に伸縮し、どんな体型にもフィットするこれまでにないオリジナル素材で、軽く、しわを気にせず着用できます。「シルクはフォーマル」とうイメージから抜け出られたような気がします。素材もデザイン的にも日常のファッションの世界にシルクを昇華させることができた、という評価が得られたら嬉しいかぎりです。コーディネートされる他の素材やデザインもシルクがメインで、時に優しく、時にハードに、特に繊細さをもった表情に加え、自然の光をとりいれたカラーで調和した新しい世界を演出しています。素材やデザインを職人さんたちと一緒に形にしながら、国内のシルク産業が疲幣する中にあっても、これほどの作品を作れる技量が残っていることに、いつも感心させられています。そんな固有の文化を二十一世紀という時代性に見合った服として提案し続けられていけたらと、思っています。絹というものを蚕という視点からみていったら、もっと多くの可能性が存在していることもこの間の活動の中で強く感じています。いろんな分野の方と蚕や絹を仲立ちとしてコラボレーションしていくことも楽しみです。

■四月に作品展を開催

 この二年の間にパリやカンヌ、韓国などで映画祭や文化イベントに招聘されて作品を発表してきましたが、どこに行ってもたいへんな反響で驚かされました。世界への足掛かりになればと思っていますが、少なくとも日本固有の文化を世界の方にみていただける良い機会になりました。その帰国報告展をかねた作品展とファッションショーを四月中旬から約一ヶ月の間、長野の駒ヶ根高原美術館で開催する計画をしています。 

 そういう動きと連動しながら、今回、蚕糸会館にできたショップがこれからOKA・MASAKOブランドが世界に向けて発信していくスタート台になっていけたらと思っています。シルクの新しい可能性がふんだんに盛り込まれたショップの中で、私のブランドもショップの活性化に貢献でき、同時に国内シルク産業の育成と発展に少しでも役だっていけたら幸いです。


日本の絹の里、第8回企画展

    「皇居のご養蚕展」を開催

群馬県立日本の絹の里では来る4月19日(金)から6月9日(日)の日程で第8回企画展「皇居のご養蚕展」を開催致します。

 日本人の衣食をささえる農事の象徴として、皇居内では天皇陛下のお稲作とともに皇后さまがご養蚕をされています。皇室と養蚕のつながりは古く、皇居のご養蚕が現在の形になったのは明治4午昭憲皇太后の時からで、以来歴代の皇后に引き継がれています。皇居のご養蚕については、明治4年最初のお世話役として、上州島村の岡島武平が御奉仕したことをはじめとして、多くの群馬県関係者がご養蚕と深い関わりを持ち、県民の関心も高く生産者の励みにもたるものと考えております。このたび日本絹の里では、現在及び過去のご養蚕所の蚕具類、ご養蚕所生産の繭標本をはじめとした御養蚕所関係資料(歴代皇后の御親蚕の写真・宮中ご養蚕関係の錦絵、他)、さらに、明治期に御養蚕所に奉仕した方々ゆかりの品々等約120展を展示し、明治から現在までのご養蚕について紹介します。

 開催にあたっては、宮内庁並びに財団法人大日本蚕糸会のご協力を宮内庁侍従職からは資料の提供を得て行われます。

 なお、詳細につきましては本会までお問い合わせください。問い合わせ先:TEL 027-360-6300

 と き:4月19日(金)〜6月9日(日)午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)

 ところ:日本絹の里 群馬県群馬町大字金粉881-1 TEL 027-360-6300

 主 催:郡県立日本絹の里

イ ベ ン ト 情 報

JA全農「春のコレクション」

JA全農養蚕対策室では、日頃のご愛顧にお答えしてオリジナルブランド商品を特別価格で提供するほか、春夏物の魅力あるシルク製品を取りそろえご奉仕いたします。今回は特別に新潟・五泉産のシルクニット製品を展示販売いたします。

と き

4月9日(火)〜11日(木)10:00〜18:00

ところ

有楽町 ジャパンシルクセンター

主 催

JA全納養蚕対策室

編集協力:農林水産省畑作振興課、農畜産業振興事業団